公明党執行部はきょう、地方幹部を党本部に呼び「集団的自衛権行使」への理解を求めた。
「戦争反対」「憲法壊すな」…市民のシュプレヒコールが響くなか、都道府県の代表、幹事長クラスの議員が次々と党本部に到着した。
奈良県の岡史朗県議に「地元の声には厳しいものがありますが」と筆者は水を向けた。岡県議は「慎重な対応を求める」と答えた。沈痛な面持ちだ。
党中央執行部の国会議員はタクシーで乗りつけた。大口善徳・国対委員長代理に「地方は反対していますが?」と筆者が言葉を投げると、大口国対委員長代理はうなずくだけで無言だ。表情は硬い。それにしても党執行部の国会議員に対して記者クラブはおとなしい。
テレビ局のカメラマンも含めると40人ほどの報道陣が党本部前で会合が終わるのを待った。会合は3時間半に渡って続いた。予定を30分オーバーして午後4時に終わった。
記者たちは党本部から出てくる執行部の国会議員と地方議員にぶら下がった。
北側一雄・副代表は「ブリーフィングがあるから」とひとこと言ったきり、黒塗りの車に乗り込んだ。
都道府県議会議員の話を総合すると、執行部からは「(自民案を)容認してはいない」「まだ与党合意の結論は出ていない」との説明があったという。
山口代表自身が「新聞に書いているような容認ではない」とまで話したという。
新聞の一面に躍る「山口代表、集団的自衛権容認」は何なのだろうか? 地方議員への説明と違うではないか。公明党はなぜ新聞各社に「誤報だ」と抗議しないのか? 不思議だ。
説明を受けた地方議員たちの顔は、一様にくもりがちだ。釈然としないのだ。
「地元への説得は難しいか?」と記者団から問われた福岡県の浜崎達也県議は「閣議決定がいつ出てくるか、分からないから難しいね」と顔をしかめた。
埼玉県の塩野正行県議は記者団から「(創価学会)婦人部の反対が強いようですが?」と向けられた。
塩野県議は「婦人部だけじゃないよ。み・ん・な(反対)」とにがり切った表情で答えた。
安倍政権の思い描くシナリオは――来週早々の与党合意を受けて7月1日(火)の夕方に閣議決定。
7月1日(火)までは、残すところ中2日しかない。2日のうちに再び地方議員を呼べるのだろうか? 呼んで地方議員を説得したとしても地元の支援者を納得させることができるのだろうか?
公明党は地方をないがしろにして「見切り発車」するのか。それとも創価学会との間で落とし所がすでに出来ているのだろうか。