東電福島第一原発から高濃度の放射能汚染水が海に流れ出している問題で、事態を重く見た原子力規制委員会はあす(2日)、第一回目のワーキンググループ会合を開き、抜本的な対策について協議を始める。
東電の説明を総合すると、汚染水の流れは次のようになる――
事故を起こした原子炉を冷却した際、高濃度に放射能汚染された水は格納容器から漏れ出す→ 原子炉建屋 → タービン建屋 → 立て坑(ピット) → 海へ流出する。
第一原発港湾内の計測点ではセシウムやストロンチウムが検出されている。ストロンチウムの濃度はほとんどの計測点で法定限度を超えており、10倍を超える場所もあった。
これはあくまでも東電の計測と発表である。東電以外の第三者機関に計測させたらゼロが2ケタか3ケタ多いのではないだろうか。根拠は―
地下水脈に入った水は海にも湧出する。原子炉建屋、タービン建屋とも床は大地震でヒビが入っており、そこから大量の高濃度汚染水が地下水脈に入っているはずだ。筆者はこれを2011年から東電の記者会見で指摘し、昨日も田中委員長にぶつけた。
東電はピットと海岸との間をコンクリートで塞ぎ、汚染水が海に漏出しないようにする、としている。
東電の対策は子ども騙しにもなりはしない。地下水脈がまったく考慮されていないからだ。汚染水は地下水脈を通って海底にコンコンと湧き出ているはずだ。ダダ漏れ状態なのである。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は昨日(31日)の定例記者会見で「(汚染)水の問題はかなり深刻で切迫している」との危機感を示した。田中委員長は「規制委員会として調査をしなければならない」としたうえで次のように語った―
「あそこには富岡水脈という大きな地下水脈があって、汚染がそれ(富岡水脈)のどの程度まで行っているのか? 規制委員会としては踏み込み過ぎかもしれないが、きちっと調査をしていかなければならない」。
2011年にもグリーンピースが福島沖で海洋汚染を調査しようとしたが、政府が阻んだ。正確に言えば東電の意を汲んだ政府が調査を許可しなかった。
調査の成否は東電のデータ隠しを突破できるかだ。
田中委員長は「東電は相当のデータを持っているが、出し方が事業者特有の渋りがあって十分でない」と苦言を呈した。
東電はきょう(1日)未明、2号機と3号機の立て坑(ピット)からセシウムを9億5千万ベクレル/ℓ、ストロンチウムを5億2千万ベクレル/ℓ 検出した、と発表した。東電の発表でさえ気が遠くなるような高濃度汚染水が立て坑(ピット)に溜っているのである。
手をこまねいていたら、水俣をはるかに超える海洋汚染となる。