【チェルノブイリ報告】 ウクライナ医師の警告 「最低でも年1回の検診が必要」

コンスタンティン・ロガノフスキー医師。「原発事故後は、メンタルケアが重要と力説する」と流ちょうな英語で話した。=医療放射線研究所、キエフ市。写真:諏訪撮影=

コンスタンティン・ロガノフスキー医師。「原発事故後は、メンタルケアが重要と力説する」と流ちょうな英語で話した。=医療放射線研究所、キエフ市。写真:諏訪撮影=

 「福島県内では、未だに健康診断を受けていない子ども(18歳未満)がたくさんいます。また、A2判定※の子どもの再検査は2年後ですが、どう思いますか?」。

 キエフ市にある、ウクライナ医療放射線研究所のコンスタンティン・ロガノフスキー医師(神経学部門)に尋ねた。

 「ウクライナでは放射能の影響を受けたと思われる全ての子どもを対象に、甲状腺検査だけでなく、小児科・内分泌・血液・神経・眼・咽喉(のど)・外科の健康診断を毎年実施している。甲状腺検査は当然、総合的な健康診断も含めて、最低でも年1回、出来れば年2回やってもらいたい」――

 ロガノフスキー医師は、福島の対応が信じられないといった顔つきで、最低でも年1回の検診が必要だと強調した。同席した小児科医の妻も大きく頷いた。

 ロガノフスキー医師の考えはこうだ。「多くの病気は心理的原因から来ている可能性が高い」、「年間20ミリシーベルトの被ばく量は安全」。チェルノブイリ事故に関する心理学の専門家として権威あるロガノフスキー医師は、26年の経験をもとに語った。

 「是非、福島の医師、日本の政府に健康診断を毎年実施するよう助言してください」と、筆者は頼んでみた。ロガノフスキー医師は山下俊一・福島県放射線健康リスク管理アドバイザーと交流があるとの事だ。

 「私が日本政府のやり方に対して、発言することは難しい」。日本政府ともつながりがあるウクライナ医師の口は堅かった。

 福島で1名の小児甲状腺ガン患者が見つかったことについても聞いた。

 「福島医大は原発事故が原因であることを否定したが、どう思うか?」。

 「患者のデータがないので、詳しい事は言えないが、原発事故が原因ではないと言い切る事はできない。甲状腺ガンが急増するのは4年後くらいから。ウクライナでも事故後1年で甲状腺ガンは発生している」。

ホットスポットのナロジチ地区から治療にきている親子。地方病院で重病と判断された患者はキエフに来る。「サッカーがしたい。でも、あんまり運動はできない」、兄弟は寂しそうに話してくれた。=医療放射線研究所。写真:諏訪撮影=

ホットスポットのナロジチ地区から治療にきている親子。地方病院で重病と判断された患者はキエフに来る。「サッカーがしたい。でも、あんまり運動はできない」、兄弟は寂しそうに話してくれた。=医療放射線研究所。写真:諏訪撮影=

 同研究所のステパノバ・イエゲニア医師(小児科部長)は、福島でチェルノブイリと同様に甲状腺ガンが急増する可能性は低いという。これは朗報と言えるかもしれない。

 「チェルノブイリ事故の被災地では、地理的に見て栄養素のヨウ素がもともと不足していた。このため、事故で放射性ヨウ素が降ったとき体がヨウ素を欲したことから吸収率が高かった。しかし、日本はもともと海藻や魚介類を多く食べているため、ヨウ素が足りている状態だったと考えられる」。

 「だからといって、楽観してよい訳ではない。健康診断は確実に年1回実施する必要がある」ステパノバ医師は念を押した。

 チェルノブイリ事故から学ばなかった結果が福島事故だ。しかし、今からでも学べる事、学ぶべき事はまだあるだろう。

 「甲状腺検査は、血液検査と超音波検査だけ。子どもの体に負担はかからない。とても簡単な検査だ」。ロガノフスキー医師は語る。

 簡単だと言われる甲状腺検査だけとって見ても、福島では血液検査も実施されないなど、ウクライナ基準から見たら満足できるものではない。日本政府は、26年の経験があるウクライナ方式を導入するべきではないだろうか。

 《文・諏訪都》

※A2甲状腺判定:
検査の結果、結節(しこり)が5ミリ以下、嚢胞(のうほう)が20ミリ以下の子供は、再検査を受けるのが2年後となる。このカテゴリーの子供たちは全体の43%を占める。

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