「俺たちはなあ、オザワがいなきゃあ生きてゆけないんだよ」。小沢一郎氏が民主党幹事長だった頃、ある老練フリーカメラマンが吐き捨てるように言った。良くも悪しくもオザワ、という意味だ。
11日、憲政記念館で開かれた「小沢新党」の旗揚げ式には、記者、カメラマン、ワイドショーのスタッフを合わせると100人近いプレスが詰めかけた。野田首相の記者会見より遥かに多い。
大半は記者クラブメディアだ。新聞・テレビは、批判記事を書くのにこれほどの人数を投入する。霞が関とその広報部である記者クラブは、彼らの既得権益を奪う恐れがある小沢氏を最後まで叩くつもりだ。
財務官僚出身の衆院議員がこんなことを言っていた。「小沢さんはどこに手を突っ込めば、どれくらいの予算を引き出せるかを知っている」。かりにこれが実現すると各省横並びの予算編成は崩壊する。霞が関はこれを恐れ忌み嫌う。
記者クラブは記者会見の開放を強いられる。国民の財産であるはずの公共の情報を私企業(NHK以外)の新聞、テレビ、通信社が独占する。これも崩壊する。日本をがんじがらめにする霞が関と記者クラブにしてみれば「クーデター」だ。国民からみると「革命」となる。
新党の名前は「国民の生活が第一」。衆参あわせて49人の議員が参加する(11日現在)。代表は小沢一郎氏。右腕となる幹事長は東祥三衆院議員だ。
小沢代表は結党あいさつで党の基本方針を明らかにした。「地域主権を確立するための行財政改革」「スケジュール感を持ったデフレ経済対策」「脱原発」などだ。
民主党がグチャグチャになったのは綱領がなかったためと言われる。新党「国民の生活が第一」は三本柱からなる綱領を設けた。
1、「国民の主権」
国も官僚も企業も団体も、もはや公共の福祉の名の下に情報を独占し隠ぺいすることは許されない。
2、「地域主権」
国と地方の関係については、統治機構の抜本改革の中で協議を先行させる。
3、「国家としての主権」
安全保障のみならず文化・教育・科学技術・経済・金融・外交等々、真の主権国家を確立する。
3つとも自民党、民主党ではなしえなかったことである。特に1と2は、霞が関と記者クラブの既得権益にメスを入れるものだ。またもや国税庁あたりから金銭に絡んだスキャンダルが流布され、新聞・テレビが喧伝するだろう。
小沢新党は今後も叩かれそうだ。官僚とその手先である記者クラブに支配され続けているうちに、この国は終わってしまわないだろうか。
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