もともと定見のない男だからいずれこうなると予想していたが、こうも短期間に言を左右にされると、バカにされたような気分になる――
菅直人首相は今夕、官邸で開かれた記者会見で記者団から「停止中の浜岡原発の再稼働はあるのか?」と聞かれ、「安全性が確認されれば再稼働を認める」と答えた。
フリーランスの岩上安身記者が「原子力(発電)を今後増やすのか、維持するのか、減らすのか?」と質問したのに対して、首相は「原子力のより安全な活用の仕方を生み出してさらに活用する」と踏み込んだ。これが本音だろう。
昨日、東電が発表した工程表について、首相は「ステップ2は遅くても来年1月中旬までに終える」などとコメントしたのである。武藤栄・東電副社長の言ったことをオウム返しにしたに過ぎない。明らかに電力業界の意向を汲んでいる。
「プラン1→プラン2」が詐欺にも等しい絵空事であることは、前稿「東電情報隠し…その12」で述べた。まがりなりにも一国の首相がペテンにまんまと嵌ったのだろうか。それとも無理だと知りながらそう信じたかったのか。
「首相、原子力政策の抜本見直し」「自然エネルギーへシフト」などと新聞・テレビはタイトルを躍らせる。だが真に受けてはいけない。「再稼働は?」と某社の記者が聞いたが、電事連と示し合わせたうえでの質問である可能性が高い。
官邸、霞が関、マスコミ、電力業界による鉄の利権構造は依然健在である。「首相はエネルギー政策を原子力から自然エネルギーにシフトさせた」などという報道に決して騙されてはならない。