続・「可視化潰し」 ~冤罪防止より小沢外し~

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政府が先回りして『一部可視化』法案を提出する方針が明らかになった。それを受けて開かれた「可視化議連」の会合は緊張感が漂った。(9日、衆院第2議員会館。写真:筆者撮影)

 「可視化議連」が議員立法で提出することにしていた「特捜調べの可視化」は今国会に間に合わなかった。そこを見透かしたかのように法務検察は「特捜調べの『一部』可視化」を打ち上げた。      
 来年の通常国会で政府提出法案となるので「可視化」をめぐって民主党は分裂することになる。
 「可視化議連」の川内博史会長が政府を牽制した―「拡大政調で『何で可視化なんかするんだ』『可視化なんてする必要がない』なんて言う先生がいる。民主党がマニフェストで国民の皆さんに訴えたことは何だったんだということを明らかにして行きたい。そうして法務省の悪企みを許さない」。
 田代郁議員が呼応した。「取調べの可視化をする前に民主党の議論の可視化を・・・」。会場からは笑いがこぼれ、緊張した雰囲気が一瞬ほぐれた。
 川内会長は一方で苦しい事情も明かした―「一部をカッコに入れて『特捜案件を可視化した』と政府・役所は言う。内閣が法案を提出した後で我々がいくら『それは違う』と言ったところで対決できない。先手を打って我々が提出する」。
 法務検察は全面可視化を渋る理由を「録画したら全部のテープを見なければならなくなり、裁判が遅延する」としている。
 田代議員は「任意性を争う時は可視化した方が(時間が)短くなると直感的に思う」と語り、裁判遅延にはならないとする。
 「日弁連・取調べの可視化実現本部」の田中敏夫・本部長代行は「弁護人は『録画を全部流せ』なんてバカなことは言わない。法務省による“タメにする議論”だ」。
 そのうえで田中氏は一部可視化の危険性を次のように解説する。「一部可視化されたりしたら、自白させられた最後の部分だけが録画される。(逮捕当初)否認していた人がなぜ自白になるのか。その過程が詳らかにならない」。
 「取り調べの全面可視化」は、政権交代を成し遂げた09年総選挙のマニフェストで謳いあげたほどの重要課題だ。「後を絶たない冤罪を無くしてほしい」と願う国民からの支持を得たものである。
 マニフェスト破りをさらに重ねてまで、政府が全面可視化を潰しにかかる理由は党内事情にあった。
 「可視化議連」会長の川内博史議員、事務局長の辻恵議員、切り込み隊長の森ゆうこ議員はいずれも名だたる「親・小沢」だ。議連は、小沢一郎元代表の秘書だった石川知裕議員の逮捕をきっかけに発足した。石川議員の供述が検察に都合の良い内容だったからだ。
 冤罪をなくすことより「小沢外し」に血道をあげる菅政権と法務検察の姿がそこにある。
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