市民団体・平和団体で作る「戦争をさせない1000人委員会」はきょう、「解釈改憲による集団的自衛権の行使容認に反対し、戦争するためのすべての立法に反対する」署名175万6,368筆を衆参両院の副議長に提出した。首相官邸は受け取りを拒否した。
この日の夕方、同委員会は日比谷野外音楽堂で反戦集会を開き、国会を包囲した。日本を再び戦争ができる国にしてはならない。危機感を抱く市民たちで日比谷野音はほぼ満席となった。
先の戦争を知る世代が登壇し、平和の尊さを懸命に訴えた。菅原文太さん(俳優・昭和8年生まれ)の体験談は会場をしんみりとさせた―
「戦争が始まったのは(自分が)小学2年生の時、次の年に親父が40歳過ぎて戦争に持って行かれた。帰ってきたのは6年後」
「父は5人兄弟で、長男は帰ってきたが、生涯マラリアに苦しめられた。3男はフィリピンから一通の手紙が来たきり、どこで死んだのか、餓死だったのか、弾に当たって死んだのか。今だに髪の毛一本戻ってこない。親父も生涯を棒に振ったというようなことで終わった」
「戦争はよくないですね。戦争は絶対にやめなきゃだめです。もし始まったら皆さん、命を賭けましょう。私はもう80だから惜しくない。皆さん一緒に戦争反対の気持ちを今日明日あさってで終わらずに、一緒に闘い続けましょう」。
澤地久枝さん(作家・昭和5年生まれ)は、現在の日本がいかに危機的な状況にあるかを説いた―
「もし一千万人の人が戦争反対と言ってつかまったら、いま捕まえる法律はいくらもある。もう罠がいっぱい仕掛けられた中で私たちは生きている」
「でも何があっても戦争反対だ、9条を守ったら自衛隊は(海外での武力行使は)できない。戦闘などできない。ましてや『集団的自衛権などとんでもない』とみな心を合わせて言う勇気を持ったら、そこに希望があるし、安倍政権は怖いだろうと思う」
「いつまでも安倍政権とその支持者達を怖がらせる存在でいて、ぜったい戦争は許さないという存在になりたいと思う」。
会場の参加者たちに話を聞いた―
川口市から足を運んだ主婦(60代)は「いても立ってもいられなくて来た。声をあげていかないといけない」と話す。
彼女は「憲法9条のなかに歯止めをかける文章を明記した方がいい」とまで言った。解釈だけで簡単に憲法9条が改憲されないようにという願いを込めているのだ。
「AKBの総選挙があったけど、そこに行った人は全部こっちに来ればいい」。安倍政権にとって実に好都合なB層に対して彼女は憤っているようでもあった。
埼玉県から訪れた男性(60代無職)は、刺すような眼差しで壇上の政治家たちを見つめていた。政治不信の表れだろう。「安倍のやっていることはメチャクチャ。集団的自衛権の限定行使なんて無責任だ。言い訳に過ぎない」。男性はストレートに怒りを表現した。
「ここまで市民を無視し、ここまで市民を冒涜する内閣を私たちはかつて見たことがあったか?ここで怒らなければ市民ではない。生存権、人格権、自分を生きる権利を踏みにじって何が首相だよ」。落合恵子さん(昭和20年1月生まれ)は喝破した。