医療法人・徳洲会から現金5,000万円を受け取っていた問題で猪瀬直樹・東京都知事がきょう午前記者会見し、辞任を表明した。
猪瀬氏は辞任の理由をひたすら「オリンピックのため」とした――
「私はチーム日本の一員として2020年オリンピック、パラリンピックの招致を成功させることもできた。この問題で都政を停滞させるわけにはいかない。オリンピックの準備を滞らせることもできない。私自らが都知事の職務を退くほかない。(・・・中略)最後に東京オリンピック・パラリンピックの大成功を心より祈念致します」。冒頭の辞任の弁からしてこれである。
「オリンピックの組織委員会が2月に立ち上がる。今辞めれば選挙は1月か2月の頭(だから間に合う)」。
次はどんな人に都知事になってもらいたいか、と記者団に聞かれると、猪瀬氏は、「スポーツにあかるく、東京をスポーツにあふれた都市にできる人が次の都知事になってくれればすばらしいと思う」と答えた。
元オリンピック選手の橋本聖子参院議員(自民)の出馬も取り沙汰されており、猪瀬氏のコメントは意味深に聞こえた。
マスコミの世論調査では国民の過半数がオリンピックを望んでいることになっているが、まともな世論調査をしたら「過半数が望んでいない」となるのではないだろうか?
猪瀬氏の知事在任中の実績と言えば、国民の多くが要らないと言っているオリンピックの招致くらいではないだろうか。お粗末な政治家人生となってしまった。
会見を終え去ろうとする猪瀬知事にどこかの社の記者が声をかけた。「知事ご苦労さまでした」と。収賄罪で刑事訴追される可能性が高い政治家に対してこれほど甘い記者会見も珍しい。
たまりかねた筆者は次のような猪瀬氏に言葉を投げかけた。「地検の逮捕が頭をよぎりませんか?」
偽証罪も適用される百条委員会の行方が気になる。都議会の議会運営委員会は昨日(18日)、設置を決めている。猪瀬知事の辞任は「百条委員会逃れ」ではないかとの見方がある。
ジャーナリストの今井一氏が都議会事務局に尋ねたところ次のような回答があった―
都議会は百条委員会設置のための臨時議会の招集を昨日、知事に請求済み。知事が招集を拒めば20日後の1月8日以降、都議会議長が議会を招集し百条委員会を設置できる。カウントは昨日から始まっているため、たとえ知事が辞任しても議会は百条委員会を設置できる。ただし議会が「請求」を取り下げれば、百条委員会は開かれなくなる。(議会事務局からの回答、ここまで)
もし百条委員会が本当に開かれたら、自分が所属する政党の国会議員の名前がズラズラと登場する可能性は極めて高い。都議会の議員さんたちもそれは避けたいはずだ。
「百条委員会」は猪瀬知事を辞めさせるための圧力に過ぎなかったのではないだろうか。果たして百条委員会が開かれるのか、注視したい。