低所得層の台所を直撃する「消費税増税の中止を求める国民集会」がきょう、都内で開かれた。(主催:実行委員会)
政府は消費税率を現在の5%から来春8%に(※)、再来年秋には10%に上げる方針だ。食料など生活必需品が値上がりすることから貧乏人には痛手だ。生活はさらに苦しくなる。
新聞社は増税推進のキャンペーンを張る一方で、自らには軽減税率の適用を求める。国民には重荷を押し付けておきながら、自分たちは身軽になろうという寸法だ。新聞社が事実上テレビ局を支配していることから、マスコミから伝えられる「消費税増税反対」の声は小さい。
吉野家の牛丼が100円値下げされて大喜びの庶民は、いくらマスコミが世論操作しようが、消費税増税には反対のようだ。
農民、商工業者、医療従事者、主婦、年金生活者…。日比谷野音で開かれた集会には各界各層の人たちが全国各地から駆け付けた。
仙台の女性(60代後半)は経営していた建設会社が津波で流され、現在は年金だけが頼りだ。「消費税が上がったら生活できなくなる」。女性は悲壮感をにじませた。
岡山で病院事務の仕事に携わる男性(30代)も表情は険しい。勤務する病院(300床)で納める消費税は現在月額600万円にものぼる。「5%に上がったら病院経営が圧迫される。(一方で)社会保障費が削られたら病院にかかれなくなる人も出てくるだろう」。
大阪で商店を経営する女性(50代)に聞いた。「消費税の増税分が何に使われるのか収支を見せてほしい。増税は(店の)売り上げに響く。(税率が)いつ上がるかはっきりせえへんから、ウチらはポンポン値上げはできへん。その間は泣き寝入りせなあかん」。女性は悔しそうに語った。
消費税の特質は冒頭でも述べたように貧乏人ほど重くのしかかってくることだ。反貧困ネットワーク代表理事の宇都宮健児弁護士が指摘する―
「消費税は貧困と格差を拡大する。消費税よりも金持ち層への増税で所得を再分配すること。消費税増税は低所得者に2重苦、3重苦を強いる」。
ジャーナリストの斎藤貴男さんは「今は3万人を割っているが、消費税が増税されたら自殺者は5万人になるだろう」とみる。食べて行けなくなり、生活保護も受給できなくなったら、人間は死ぬしかないのである。
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(※)
今年10月、経済指標を見て正式に決める。