東電福島第一原発の1、3、4号機の使用済み核燃料プールと共用プールの冷却装置が18日、停電により作動しなくなる事故が起きた。使用済み核燃料が崩壊熱を出しているため冷やし続けなくてはならないのに、それができない。プールの温度はジワジワと上がっていった。
水が蒸発すれば燃料棒がムキ出しになり放射性物質が環境中に撒き散らされる。2年前、全電源を喪失したために起きた大惨事を誰もが連想した。
東電は当初、停電の原因を「仮配電盤」でショートが起きたためと説明していたが、翌日、ショートはネズミの侵入によるとの見方も示した。
肝心要の冷却装置を動かす電力が、2年間も「仮配電盤」で制御されていたのである。そこにネズミが一匹入り込み、停電事故に至った。東電という企業の安全管理のお粗末さを改めて見せつけられた思いがする。
東電は人の命と健康と生活を余りにも軽んじてはいないだろうか? 「ふざけるなっ」。毎週金曜日、首相官邸前でおなじみの「首都圏反原発連合(反原連)」が今夕、東電前で抗議集会を開いた。
「2年経っても事故は収束せず、賠償も遅々として進まない。そこに来てあんな(停電)事故が起きた。何も言わないんじゃ、世の中暗くなる」。反原連の重鎮・原田裕史さんは、東電前抗議の意義を語った。
夕方6時に始まった集会には、勤め帰りの会社員や夕食の支度を終えた主婦などが三々五々集まった。
『原子力ムラ撲滅、原発廃炉』のゼッケンを付けているのは、マンション管理人の男性だ。川崎から駆け付けた―
「停電事故はブラックジョークだ。ネズミ一匹で日本が、いや世界が危うくなるところだった。東電は『事象』と言うが『事件』であり『犯罪』だ」。男性は怒りを噛みしめるようだった。
トラメガのマイクを握った男性は、聳え立つような東電本店に向かって言った―
「3.11が起きる前から原発が危ないと言う人は沢山いた。あなた達が安全だと言って動かし続けた。わざと事故を起こしたのと同じ、あなた達が原発を爆発させたんだ。酒酔い運転は殺人を犯すから罪が重い。やっていることは酒酔い運転と同じだ。我々が愛想を尽かす前にやめろ。みんなメガ電力からの独立を図っている」。
参加者たちはことごとく東電のズサンな安全管理に怒りの声を上げていた。東電前に来たかったけれども来られなかった国民は、数えきれないほどいる。彼らの後ろに何百万人もの国民がいることを、国と東電は知るべきだろう。