脱原発勢力と原発推進勢力が真っ向からぶつかる東京都知事選挙が告示されて初の金曜日のきょう、官邸前の再稼働抗議集会に宇都宮けんじ候補が現れた。
スピーチエリアに立った宇都宮候補はマイクを握り脱原発への思いを語った。「原発ゼロの世界を作るには先ず東京から。そう思って知事に立候補した。(中略)民主党はただちに大間(原発)の建設をやめるべき、大飯を止めるべきだ」。
宇都宮氏は話し終えるとシュプレヒコールに転じた。「命を守れ、子供を守れ
…」今ひとつリズムに乗りきれないおかしみがあったが、参加者たちは声を合わせて同じフレーズを叫んだ。
今週は政界に劇的な動きがあった。脱原発を明確に掲げる「日本未来の党」が誕生した(総務省への届け出は29日)。「未来」が原発を止めてほしいと願う人々の受け皿となるか、官邸前に集う有権者に聞いた。
「議席数(衆院61)の勝負なので今のところ歓迎している。小沢氏率いる『(旧)国民の生活が第一』があれだけの議席数(衆院48)を持っているのに、マスコミは無視している。腹が立つ。マスコミにはもう期待しない」(自営業40代・男性=都内在住)
「党首が女性なので視点が期待できる。原発推進勢力に対抗する受け皿になりうる。メディアは未だに『小沢云々』と言ってるが、そういう低レベルの話じゃない。福島第1原発3号機で4000mSv/h(東電発表4780mSv/h)の線量を計測しているのに、経済がどうこうと言ってる場合じゃない」(会社員40代・男性=さいたま市)
今夜の東京地方は今シーズン一番と言ってもよいほど冷え込んだ。それでも参加者たちの脱原発にかける思いは熱い。
インタビューしていると、全身から声を振り絞るようにしてアピールする男性の声が聞こえてきた。「未来という脱原発を目指す政党ができ(人々が)全国各地で結集しています。野田総理、この選挙であなたを追い込みます」。
野田首相はこの男性の声をどう受け止めるだろう。もはや「大きな音」では済まされない選挙情勢になっていることを自覚しているのだろうか。
《文・田中龍作 / 諏訪都》