北方領土支援をめぐる一連の事件で、鈴木、佐藤両氏に対する捜査は先ず逮捕、起訴ありきの「国策捜査」だった。鈴木氏は林野行政に絡んだ別件であっせん収賄罪の有罪が確定した。先月7日のことだ。だが、大阪地検特捜部による証拠いん滅事件の発覚があと1ヶ月も早ければ、最高裁の判断にも影響を与えただろう。
もうひとつ特筆すべきは、この事件をめぐる検察から報道機関へのリークが凄まじかったことだ。裁判所の判決に照らし合わせてみると、「針小棒大」どころか、「ない」ことまで棒大に報道しているのである。それは小沢一郎元幹事長の政治資金団体による土地取引事件に関する報道でも同じだ。
小沢氏をめぐる事件ではさらに厄介なものが加わった。世論操作を受けやすく実態が不透明な検察審査会である。
「検察組織」「情報リーク」「検察審査会」の問題点をムネオとラスプーチンが鋭くえぐった。
情報リークと情報管理
佐藤優:
リークされた情報が正しくなかった場合、リークした奴の名前を(記者は)バラスべきだ。なぜなら国民が真実を知る権利に反するから。ウソを知らされた場合、再発防止と責任はメディアにある。
民主党政権になって政治家とのオフレコ懇の記者メモが私の所にも回ってくるようになった。自民党政権下だったら草の根を分けてでもこの記者を見つけ出し日干しにした。民主党はそれだけナメられているということ。
組織問題としての検察
佐藤優:
懲戒免職になると外務省でやった仕事として残らない(ゆえに自分は残って闘った)。個人犯罪にされてしまうから。前田さん(恒彦・検事)、大坪さん(弘道・前特捜部長)、佐賀さん(元明・特捜部副部長)が闘いを止めないのは、組織としてやってきたことの責任を取らなければならないからだ。
前田さんの心理は「発掘と捏造」。神の手と称された藤村(新一)教授と同じ。遺跡を予め埋めるので100%出てくる。特捜部だから事件を挙げなければならないという圧迫感があった。
鈴木宗男:
大阪地検がやっていることは東京でも名古屋でもやっている。日本中の地検のやり方。国策捜査は私ひとりで結構。小沢さんの件も国策捜査だと思う。政権交代したら我々の組織はどうなるか?青年将校化した一部検察官の姿がある。
検察審査会の恐さ
鈴木宗男:
検察審査会の可視化が必要。説明をしているのが検事。意図的、恣意的に法律に詳しくない人に誘導するような説明をしたらどうなるか?恐い話だ。(検察審査会は)鈴木ありき、小沢ありきで流れてきたことも事実。
狙われたら皆さんも(鈴木、小沢と)一緒。他人事とは思わないで下さい。民主主義の危機です。
佐藤優:
逆説的な言い方だけど小沢さんのためには良かった。(土地取引に絡んで小沢氏が強制起訴された)この事件は無罪だと思う。やりたくて仕方がなかった検察が証拠を集めきれなかった。(強制起訴しても)公判維持が大変。
今までは「疑惑だ」、「疑惑だ」と言ってたのが裁判所の判定で「それは違うんだ」と言うことになる。
~終り~
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内容を分かりやすくするために話しを多少前後させています。ご了承下さい。
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