検察審査会の起訴相当議決を受けて小沢一郎・元民主党幹事長は7日、衆院会館で記者会見し「離党も議員辞職もしない」ことを表明した。
小沢氏は明らかに憔悴していた。デッチ上げも平気でやる東京地検特捜部の執拗な捜査・取調べを交わし終えたと思ったら、素人集団によって強制起訴されたのである。
「検察捜査で起訴に値する事実はなかった。(にもかかわらず)その後、審査会の方で起訴という議決がなされたのは大変残念」。小沢氏は力なく話した。
普段言い訳やグチめいたことはほとんど口にしない小沢氏だが、この日の会見では、検察審査会がすでに出した議決を批判した。
「1回目の議決の起訴理由になかったものが突然今回加わっている。11人いるのと平均年齢が30・9歳という他は分からない。検察審査会は秘密のベールに包まれている。どういう議論がなされ、どういう中でそういう結論がなされたのか、私にも国民の皆さんにも分からない」。
一般市民の中から抽選で選ばれたはずの検察審査会がブラックボックスになっている、と指摘する向きは多い。
離党や議員辞職は考えていないのか?との記者団の質問には次のように答えた。
「国の捜査機関である検察の一年余りに及ぶ捜査のなかで起訴する事実はないということが明らかになっているので、私にはそういう(離党、議員辞職)意思はない。淡々として必要とされる限り続けていく」。
証人喚問や政治倫理審査会については「国会で決めた決定に従う」とした。
「仙谷官邸」とのチキンレース
民主党としての小沢氏への対応は12日に開かれる役員会で決まる。離党勧告は先ず出ないだろう。以下のような理由からだ――
中味のない菅首相は小沢氏を抵抗勢力に仕立てあげることで支持率を保ってきた。党内の求心力も維持してきた。小沢氏を離党させてしまったら、自分への追い風がなくなる。
「小沢氏は田中角栄さんのような闇将軍になるのではないか」。テレビのニュース番組が囃し立てているが、それはない。角栄さんの時代は中選挙区制だった。派閥の強弱で公認は按分された。ところが今は小選挙区制だ。公認権を党幹事長が一手に握っているので、小沢氏といえども角栄さんのように外からコントロールすることはできないのである。
裁判には小沢氏本人が出廷しなければならず、新党結成も難しい。小沢氏は居心地が悪くても民主党にいざるを得ない。だが、じっとしていたのでは影響力がなくなるため、「同士を連れて飛び出るぞ」のポーズは見せるだろう。
こうして「仙谷官邸」と小沢氏のチキンレースは当分続くものと筆者は見ている。
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