
政治犯収容所。ショッピングセンターとして建設されたが、政権を掌握したチャベスが収容所に変えた。=17日、カラカス市内 撮影:田中龍作=
独裁者マドゥロ大統領が米軍に拘束され、アメリカに連行された際、歓喜のあまり街頭に繰り出し「アメリカ有難う」などと書かれたプラカードを掲げていた人々は逮捕され、政治犯収容所に送られたことが分かった。住民が証言した。
何人が逮捕、投獄されたのか正確な人数は不明だが、地方出身者が2名以上いたことが明らかになっている。
レジームチェンジがあるものと勘違いしたのだろう。

一昨年の大統領選で勝利したもののマドゥロ政権から逮捕令状が出されスペインに亡命したゴンザレス氏。政権にとっては懸賞金を掛けたお尋ね者だ。この国の異常性が分かる。=19日、カラカス市内 撮影:田中龍作=
米国はマドゥロ大統領を排除したが、恐怖支配は健在だ。トランプはベネズエラ統治の便宜上マドゥロの独裁を支えたロドリゲス副大統領(現暫定大統領)、カベジョ内務相を温存したのである。
30代の男性は「怖くてモノが言えない。皆、そう思っているはず」と明かした。
取材の案内人はチャベス革命で人生をズタズタにされた人物だが、田中は彼の名前を知らない。聞かない。拷問に遭っても口を割らずに済むからだ。
暗黒国家に共通するのは密告網である。誰が見ていて治安当局あるいはコレクティーボ(武装民兵組織)に通報するか分からない。
このため田中はスモークドガラスの取材車から一歩も外に出ず、写真を撮った。
市場の混沌としたエネルギーをどうしても撮りたかったことがあり、その際は観光客を装ってスマホで撮影した。

アメリカ大使館。=18日、カラカス市内 撮影:田中龍作=
2019年1期目のトランプ大統領が軍事介入を示唆し、マドゥロ独裁打倒デモが盛り上がった。だがトランプは動かなかった。民衆はハシゴを外されたのである。
当時現地で取材を続けていた田中は、人々の目がジャーナリストに対してトゲトゲしくなったことに危機感を覚えた。這う這うの体でベネズエラを脱出したことを思い出す。
7年前と変わっていないことに愕然とする。
20日、10年ぶりに米国の貨物機がベネズエラに着陸した。幹線道路は一時通行止めとなる。米政府や業界関係者を乗せた車列が通過するためだ。田中は車両が米国大使館に入るのを確認した。
米国は進駐してきたが、レジームチェンジはなかった。ベネズエラ国民はこれからも息を潜めながら暮らす。
~終わり~
【読者の皆様】
田中は案内人の安全のため第3国に出て、本稿を投稿しております。
◇
予測不能なまでに激動する世界の情勢を、田中龍作に伝えさせて下さい。





