やはりこの男は本気だった。災害が起きると真っ先に現場に駆け付ける山本太郎が重機の免許を取得した。
正式名称は「小型車両系建設機械免許」。3トン未満のブルドーザーやショベルドーザーの運転が可能だ。
2日にわたって実技と講習を受け免許を取得した。取得日は1月19日。2回目の被災地訪問から帰って来てすぐである。
「もう一つ階段を上がった形で(被災地と)関わりを持った方がよいと思って(重機の)免許を取得した」。山本は動機を語った。
人命救助は時間との戦いだ。重機があれば救える命は数えきれないほどある。それを知り尽くしているからこそ山本は免許を取得したのである。
2018年、西日本を襲った大水害で被災地に入った山本は、直後の参院内閣委員会で石井国交相を相手に災害が深刻であることを詳細に語り、重機の必要性を説いた。
石井大臣は山本の要望を受け入れショベルドーザー100台を投入した。復旧が目覚ましくはかどったことは言うまでもない。
折しも国会内の隣の部屋では、裏金問題で崖っぷちに立つ安倍派の幹部が謀議をめぐらせていた。
約2時間の謀議を終えて部屋を出てきた世耕前参院幹事長、萩生田前政調会長、西村経産相にぶら下がった。3氏とも顔色がない。目は虚ろだ。
つい先日までは5人衆として肩で風を切って歩いていた面々である。今はまるで別人のようだ。
山本太郎と安倍派幹部。政治は誰のためにあるのか。両極端を見せつけられた冬の日の午後であった。
~終わり~
◇
パレスチナ取材の大借金を抱えたまま能登半島と新潟の柏崎にまで足を延ばしました。人命第一と考えたからです。
首を吊ろうにも吊れる首は一つしかありません。御支援なにとぞ御願い申し上げます。