【パレスチナ発】病院自らがマスグレーブを決断

病院には爆撃による負傷者が次々と搬送されてきていた。ここに攻撃を加えるイスラエル軍は負傷者を地獄の果てまでも追い詰める鬼畜のような存在だ。=2014年、ガザ 撮影:田中龍作=

 イスラエル軍の攻撃を受け入院患者や避難住民に多数の死者を出したアル・シーファ病院は、病院の敷地を掘って遺体を埋めることにした。トルコ国営アナドル通信とエルサレムポストが伝えた。

 遺体は約100体。腐乱し始めていることから埋葬を急がなければならなくなった。

 病院自らがマスグレーブを掘ることを決断したのである。イスラエル軍に包囲されていて遺体を持ち出せないためとしている。

 イスラエル軍は病院の地下にハマスの司令部とトンネルがあると主張しており、病院への攻撃の手を緩めていない。

 イスラムとユダヤ。双方のメディアが同じ内容の記事を伝えた。宗教の違いを超えて人道災害を報じたことになる。

今回、イスラエル軍に包囲された病院では電力不足で保育器が作動しなくなり新生児が死亡した。(写真はそのケースではありません)=2014年、ガザ 撮影:田中龍作=

 ◇

田中はパレスチナの地に戻ってきた。

二重の借金を背負ってでもガザ取材に再挑戦したのは、1日数時間の「時限停戦」に一筋の光明を見出したからだった。

イスラエル軍がジャーナリストのガザ入域を許可する可能性がわずかにでも出てくれば、それに賭けてみようと思ったのだ。

イスラエル軍がジャーナリストのガザ入域を許可するのは、ハマスを掃討し住民虐殺の証拠を隠滅してから、と見る向きもある。

そうなれば大量のガザ住民が屍となって眠る更地の上に立ち、そこからリポートしなければならない。

2014年戦争で共に死線を潜った地元記者と何としてでも再会したい。

もう一つ大きな気がかりがある。ヨルダン川西岸です。

昨年末、イスラエルに極右政権が登場するとすぐに田中はパレスチナに飛んだ。

西岸で目のあたりにしたのは、毎日、パレスチナ住民の誰かがイスラエル軍に射殺されるという現実だった。少年であったりサッカー選手であったり・・・

今回、イスラエル軍はガザに侵攻すると西岸への攻撃を強化し始めた。西岸自体はガザよりもはるかに広いが、一つひとつの地区は実に小さな街区だ。

イスラエル軍はそこに空爆をかけるのです。日本で言えば「何丁目」に過ぎないエリアに。

ガザのみならず西岸のパレスチナ住民も根こそぎ追い出してしまいたい。殺してしまいたい。民族浄化の思惑が透けて見える。

人類の歴史に刻まれるような大災厄が起きないことを願うのみだが、不幸にして起きてしまった時は、ジャーナリストとして見届け伝えなければならない。

何とぞご理解とご支援を賜りますよう、伏してお願い申し上げるしだいです。

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

パレスチナ(ガザ・西岸)