「原発の暴発」「戦術核」「汚い爆弾」の使用が懸念されるなか、ウクライナの民の多くは、すでに放射能から身を守るヨウ素剤を確保して危機に備える。
キーウ市内の薬局を訪ねて聞いてみた。
薬剤師は「ヨウ素剤が売れるようになったのは9月になってから」と話す。それまではヨウ素剤の需要などなかったそうだ。
ヨーロッパ最大の発電量を持つザポリージャ原発が、ロシア軍の砲撃により外部電源を喪失したのが、9月1日のことだ。
その後もザポリージャ原発は幾度も外部電源を喪失するトラブルに見舞われた。
9月21日にはプーチン大統領がテレビ演説で核使用を仄めかした。
「私の国(ロシア)は核兵器を保有している・・・もしロシアの領土、ロシア国民が脅かされるようなことになれば、我々が持つすべての兵器を使う」と。
最後は「これは脅しではない」と締めくくった。
この薬局は1日60人ほどの客がいるが、9月は4分の1にあたる15人がヨウ素剤を買い求めた。
10錠入りワンプレートが3~10ユーロ(メーカーによって値段が違うため)。
薬局では在庫が残り少なになったこともあったが、製薬工場が増産につぐ増産で対応したため品切れになることはなかった。
ヨウ素剤は副作用も強く、服用したからといって万全ではない。
それでも手元に置かねばならないところにウクライナの現実がある。
~終わり~