【ウクライナ発】イラン製ドローン 首都のエネルギー施設に自爆攻撃

立ち込める煙が目とノドを刺激する。慣れるまでは痛かった。ガスマスクをホテルに置いてきたことを後悔した。=17日朝9時ごろ、キーウ市中心部 撮影:田中龍作=

 ロシア軍はウクライナのエネルギーに狙いを絞ってドローン攻撃を仕掛けてきた。

 けさ(17日)8時15分頃、高射砲あるいは機関砲による迎撃音と着弾音の両方が、田中の耳に飛び込んで来た。

 大気をつんざく音が鮮烈で距離が短い。キーウ市中心部であることは明らかだった。

 田中は現場に急行した。ロシア軍が飛ばしたイラン製のカミカゼ・ドローンは発電所周辺の複数のオフィスビルとアパートに落ちた。現場の警察官によるとドローンは4機。

 国営エネルギー供給会社『ウクルエネルゴ』の本社ビルは最上階を損壊。道路を挟んで向かい側の高層オフィスビルと中層のアパートがまともに被弾した。黒煙が入道雲のように立ち上り、周辺から光を奪った。

 警察によるとアパートからは住民18名が救助されたが、2名が生き埋めになっている  (午前10時現在)。

 ドローンの直撃はなかったが、現場のすぐ近くには国営原発企業『エネルゴアトム』の本社ビルがある。プーチン大統領が強奪し「ロシアの物だ」と宣言したザポリージャ原発を所有、運営する会社である。

 発電所、国営エネルギ―供給会社、国営原発企業・・・ロシア軍がエネルギーの中核施設を狙ったことは明らかだ。

イラン製カミカゼ・ドローンの残骸。=17日朝9時ごろ、キーウ市中心部 撮影:田中龍作=

 キーウ市中心部で高射砲が配備されているのは大統領府周辺だ。「トーン・トーン・トーン」と連続する迎撃音を聞いた際は、大統領府が狙われたのかと思ったが、杞憂だった。

 ベラルーシの事実上の参戦で、ロシア軍はウクライナ国境からドローンを飛ばせる。

 キーウまでの距離はわずか80㎞あまり。防空網に掛かる距離が短くて済む。その分、目的地上空に無事着く確率は高くなる。

 首都がロシア軍の射程に楽々と収められたことは確かなようだ。

 太平洋戦争に喩えるならこうである―
マリアナ諸島が落とされ日本本土がB29 の飛行距離内に入り、空襲が本格化するようになった。

オフィスビルとアパートがモクモクと煙をあげる。=17日朝9時ごろ、キーウ市中心部 撮影:田中龍作=

  ~終わり~

   ◇
シェルターに こもって 外電を見ながら記事を書くマスコミの記者と違って、田中は現場のありのままを写真に撮り記事にします。

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