開戦から68日目、5月4日。
同じ森で5体目の遺体が見つかった。ロシア軍が撤退した4月以降の数字である。
現場はキーウの西近郊のヴィシグラド村。4月9~10日、100体を超す遺体が見つかり「マスグレーブか」とメディアが色めきたったマカロフ警察署の管内である。
検視官が遺体を細部にわたってチェックした。検視官は「銃痕も切り傷もなかった」とコメントした。私も検視をそばで見ていたが、銃痕や切り傷を発見できなかった。絞殺したのだろうか。
警察は死因を解明するために日本風に言う法医学解剖に回す。
遺体は深さ30㎝、長さ1.8m、幅50㎝弱の穴に埋められていた。
顔のあたりだけ表に出ていたため村人が発見したのだが、頬とアゴの肉は野犬や狼が食いちぎっていた。(現場の警察談)
警察によると、これまでの4体は民間人でいずれも拷問された跡があったり銃で頭を撃ち抜かれたりしていた。
森にはロシア軍のトーチカや塹壕があり、今回の遺体はそれらのすぐ傍だった。遺体は法医学解剖でDNAから身元が確認される。
安全確認のためメディアは村の入り口で2時間以上待たされた。「ドーン」地雷を誘爆する音が2回響いた。
この一帯はキーウに向かう幹線道路の沿線であることから激戦地だった。激しい戦闘が展開された地域では、必ずといってよいほど民間人が虐殺されている。
~終わり~
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