開戦から57日目、4月23日。
ウクライナのゼレンスキー大統領がこの日の夜、記者会見を持った。田中は出席した。
場所はソ連時代に核シェルターとして作られた地下鉄駅構内だ。懸念の声があがるロシアの核攻撃に備えてなのか。俳優出身ならではの演出か。
会見では、ロシアの核使用について問う質問が出た。ゼレンスキー氏は次のように答えたー
「こんにちの世界で常識的な人間は核兵器を使わない。ロシアのリーダーが正気を欠いていないならば、核兵器を使わないだろう」。
プーチン大統領をめぐっては正気を失っているとの指摘が相次ぐ。ゼレンスキー大統領は二重否定を用いて『ロシアが核兵器を使う可能性がある』と述べたのである。
人道危機が叫ばれるマリウポリについて聞かれると—
「私のチームはマリウポリの人々とコンスタントに連絡を取っている。私たちはロシア軍による包囲を解くため(政治的に)全力を傾注している。軍事力では困難だ」。
ロシアとの外交交渉について問われると―
「私は戦争を終わらせたい。数千、数万の命を失わないために。健全な人間であれば外交解決を望むが、ロシアとは信頼関係がない」。
一方の当事国から核攻撃を受けるのではないかとの懸念が出る。外交交渉も進展を期待できない。
そこに武器が次から次へと供給される。世界は行きつく所まで行くのだろうか。
~終わり~
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