筆者は4日付け本誌で「森元首相らが退場しなければ自民党は来夏消滅する」と警鐘を鳴らしたが、予想は現実のものとなりそうだ。
自民党の後継総裁選をめぐっては「14日の首班指名では白紙投票」などとする無策が罷り通りそうなほど混迷を極めている状態である。そんな中、キングメーカーであることで私腹を肥やすしか能がない森キロウ元首相が、通信社による世論調査の結果を見て“悪だくみ”したようだ。
共同通信社が31日と1日の両日行った世論調査で、自民党の新総裁にふさわしい政治家は誰かと聞いたところ、1位は舛添要一厚労相(29・1%)、2位=石原伸晃(12・2%)、3位=石破茂農水相(10・5%)・・・などとなった。
ところが1位の舛添氏は2日、総裁選への不出馬を表明した。前夜に森キロウ元首相と会談したうえでの不出馬表明だった。会談で元首相は舛添氏に東京都知事選への出馬を勧めた、という。
石原都知事は、東京オリンピック誘致を失敗した場合、引責辞任することを示唆している。IOC(国際オリンピック委員会)が10月2日に開催地を発表するが、落選はほぼ確実だ。都知事選は今秋にも実施される可能性がある。
舛添氏を都知事選に追いやる森キロウ元首相の魂胆は見え見えだ。石原伸晃氏を総裁に担ぎたいからだ。石原氏の所属する山崎派は領袖の山崎拓氏が落選し、派閥の存続さえ危ぶまれている。森元首相が率いる町村派はガタ減りしたとはいえ今なお最大派閥だ。
自民党はこれまで派閥力学で総裁を選んできた。今回の衆院選で大敗北を喫してもこの体質は変わりそうもない。伸晃氏は森元首相から総裁にしてもらうことになる。見返りに町村派は幹事長など要職ポストを得る。森元首相にとっては願ってもないシナリオだ。
これで自民党が健全野党として再生できるなら良いのだが、そうではない。まだ52歳と若手であるにもかかわらず石原伸晃氏とは、驚くほど旧態依然とした政治家なのである。半世紀前の自民党議員でさえ腰を抜かすようなゼネコン頼みの選挙戦を展開する。まともに地域に溶け込んでいないのだ。保守政治家のいい面はない。
おかげで杉並区の乱開発はとめどもない。大型公共工事で緑地は破壊され地元商店街の存続も危うい。
石原氏は知能指数も低い。日本テレビの記者だった頃、運輸省を担当していたが、同省の広報官に放送原稿を書いてもらっていたというのだ。運輸官僚時代に広報官をつとめ後に県知事となったE氏の証言だ。石原氏に代わって放送原稿を書いていたE氏本人が言うのである。
石原氏を改革派のホープなどとは夢にも思ってはいけない。「森キロウ脚本、石原ノブテル主演」の茶番劇により自民党消滅はカウントダウンに入ったようだ。
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