ロシアの侵攻回避に向けた米露協議が開かれた10日。田中はロシア側が事実上侵攻しているウクライナ東部のドンバス地方(ドネツク州・ルハンスク州)に入った。
ユーリーさん(タクシー運転手50代)が仕事を済ませて自宅に帰ろうとしていると、目の前で轟音と共に火柱があがった。間髪を入れずに銃声が響いた。
ドンバス紛争が始まって間もない2015年1月のことだ。
ドネツク州の主要港町マリウポリを攻撃してきたのは、親露勢力だった。傭兵を前面に押し立ててロシア軍が指揮しているとされる。
マリウポリ市民23人が死亡、93人が負傷した。
アゾフ海に面した港町マリウポリは、ウクライナばかりでなくNATOの戦略要衝である。ここを落としたら東部はほぼ全滅となり、アゾフ海の制海権を失ってしまうからだ(実質的に失っているが)。
マリウポリを落とすまいとウクライナ軍は守りを固める。
マリウポリの中心から約25㎞北の地点にウクライナ軍の検問所があった。検問所の周辺は地雷原となっていた。親露勢力の侵入を阻むのが狙いだ。
検問所の兵士に、取材車のドライバーがタバコを2本(2箱ではない。あくまでも2本)渡すと、気やすく通過させてくれた。
ウクライナ軍の士気は高くなさそうだ。ロシア軍が本気で攻めて来たら、どうなるのだろうか。
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