最高権力者や政府の不正を追及してきた野党合同ヒアリングの継続を危ぶむ声がある。
国民民主党の玉木代表が4日、自身のツイッターで「野党合同ヒアリングには出席しない」と明らかにしたことを、自民党寄りのメディアが都合のいいように解釈、報道したのがきっかけだった。玉木代表は立・共・社と一線を画すのがねらいで「出席しない」と言っただけだ。
にもかかわらず自民党寄りのメディアは、野党合同ヒアリングを「官僚を呼びつけて公開リンチ」などと揶揄した。
いいがかりにも等しい。官僚は政府の重要な一員として、国民に問題を説明する責任がある。コロナでバタバタと人が死亡し、夥しい数の国民が医療につながることもできずに自宅でもがき苦しみながら亡くなっていったにもかかわらず、与党は国会を開かなかった。そんな中、国会の役割を果たし国民に情報を提供していたのが、野党合同ヒアリングだった。
同ヒアリングの成果を挙げればきりがないが、記憶に鮮やかなものを記すと―
今夏の東京五輪で選手、役員、メディアが隔離を猶予されていることが明らかになった。それも数字を挙げて。水際対策は防疫の要諦であるにもかかわらず、だ。オリンピックと感染爆発は密接な関係にあることが証明されたのである。
「桜を見る会」の追及では、アベ首相(当時)の国会答弁が虚偽であることを内閣官房から引き出した。
アベ首相は参院予算委員会(2019年11月8日)で、田村智子議員(共産)の質問に対して「私は主催者としてあいさつや招待者の接遇は行うが、招待者の取りまとめなどには関与していない」と答弁していた。
ところが6日後(11月14日)のヒアリングで、野党議員の追及に対して内閣官房の中井亨参事官(当時)は「安倍事務所に最終確認して推薦を頂いている」と答えたのである。ヒアリング会場の衆院第16控室には大きなドヨメキが起きた。
野党合同ヒアリングが廃止に追い込まれれば、自公が喜ぶだけ。思うツボである。
~終わり~