「手持ちは3円しかありません。2日間、何も食べていません」。
SOSが入ると、反貧困ネットワークの瀬戸大作事務局長は、昼夜の区別なく救出に向かう。当座をしのげる現金を渡し、翌日、生活保護申請に同行する。
瀬戸事務局長によると「死にたいと思ったけど死ねなかった」と打ち明ける人が最近増えてきた、という。
安い賃金。働いても働いても家賃と消費税で生活はままならない。仕事が無くなれば、さらに生活は苦しくなる。「死んだ方が楽になる」と考える人が増えるのは当然だ。
瀬戸氏の睡眠時間は4時間/日。「(財政的にも体力的にも)限界です。国が支えてくれないと倒れてしまう」と訴えた。
反貧困ネットワークが結成されたのは2007年10月。14年近くが経つ。今月から社団法人となった。
当時、路上に弾き出されるのは、建設現場の仕事がなくなったという中高年の男性がほとんどだった。98~99%そうだった。
今では20代、30代という若年層で女性というケースも当たり前になった。職種もホワイトカラーだったりする。「広がる貧困」と言われるゆえんだ。
反貧困ネットワーク代表世話人の宇都宮健児弁護士は貧困が広がった原因を「社会保障の貧困、労働政策の貧困、それを放置した政治の貧困」と指摘する。
日曜日のきょう、反貧困ネットワークの呼びかけで新宿の繁華街でデモが行われた。
「カネよこせ」
「メシよこせ」
「家よこせ」
「政府は困っている人を見殺しにするな」
「政府は責任を果たせ」
デモ隊のシュプレヒコールを「明日は我が身」と受け止めている人がどれだけいるだろうか?
~終わり~
◇
『田中龍作ジャーナル』は生活者の立場からニュースを伝えます。読者の御支援により維持されています。↓