「自主避難」「ただちに人体に影響があるものではない」・・・言語明瞭意味不明の政府見解に翻弄される「(福島原発から)20~30キロ圏内」の福島県南相馬市。物資は供給されず金融機関からも見放された。日常生活を送るのは困難な状況となっている。
南相馬市の桜井勝延市長は東京電力と政府に怒り、マスコミに不信感を示した。以下、桜井市長へのインタビューを基に話を構成する(『』部分が市長の言葉)――
『原発事故のためピーク時(3月25日頃)は5万人が南相馬から外に避難した』。同市の全人口は7万722人。市民の7割が“脱出”したのである。『うち5千人は市役所がバスで送り出した。行先は新潟、草津、東松山など。今ではかなりの数が帰ってきている』。
3月25日がピークとなったのは、この日政府が「自主避難」させるよう自治体に要請したからだ。「屋内退避」の20~30キロ圏内で基準の1千倍となる放射線量が計測された日だ。
政府発表があった25日、枝野官房長官は記者会見した。「政府はなぜ“避難指示”としなかったのか?自治体に丸投げではないか?」、筆者は枝野官房長官を追及した。
理由は明解だ。避難費用を政府が持たなくてはならなくなるからだ。穿った見方をすれば東京電力への遠慮もあったのではなかろうか。
桜井市長は政府が「自主避難」を発表した直後、官邸に電話を入れた。運よく枝野官房長官につながった。
市長が『(政府の)現状認識は違うんじゃないの?』と質すと、官房長官は「すみません」と答えたという。
「避難指示」とせず「自主避難」としたのは、政府の責任逃れであり自治体への責任転嫁ではないかという意味だ。
桜井市長は政府に対して『国は責任を持たないのか?』と迫った。政府は「屋内避難は変わっていませんから」と居直りとも取れる逃げを打った。そのまま今に至っている(4日現在)。
『現場と官邸の感覚が違う。官邸の認識は机上の空論だ』、桜井市長は吐き捨てた。
~つづく~