「東電情報隠し」の裏で進行する放射能汚染 ~その8~

“何となく上から目線の勝俣会長”。値上げさえ示唆する厚かましさだった。(30日午後、東京電力本店。写真:筆者撮影)

“何となく上から目線の勝俣会長”。値上げさえ示唆する厚かましさだった。(30日午後、東京電力本店。写真:筆者撮影)

 国民生活を大混乱に陥れる未曾有の原発事故を引き起こしながら20日目にして初めて公の場に姿を現した男は、何ひとつ悪びれるところはなかった。

 東京電力の勝俣恒久会長が30日、東京電力本店で記者会見を開いた。電力行政を壟断してきたとも言われる勝俣会長は、国任せで難局を乗り切る姿勢を示した。

 計画停電により利用者に不便を強いていながら「値上げしないと確約するのはなかなか難しい」などとして電力料金の値上げを示唆した。

 さらに呆れたのは補償についての見解だ。フリーランスの村上格保記者から「東電を潰してでも補償するつもりはあるか?」と聞かれたのに対して勝俣会長は「原子力損害賠償法の枠組みで考えてゆきたい」と答えたのである。

 同法3条に定める免責条項の適用を求める腹積もりとしかとれない。被害は広範、多岐に及んでおり、被害金額は天文学的な数字となるものとみられる。まともに賠償したら東京電力の資産をすべて売り払っても及ばない。

 そこで「大がかりな天災地変があれば責任を免れることができる」とする原子力損害賠償法(原子力損害の賠償に関する法律)を持ち出したのである。

 実際、「純粋な民間企業として生き残ってゆけるのか?」との記者団の問いに勝俣会長は「民営でありたい」と答えている。

 枝野官房長官は25日、「安易な免責は認めない」との見解を示している。それを承知のうえでの勝俣会長の発言である。電力行政を恣(ほしいまま)に動かしてきた人物は、政府も同様に動かせるとタカをくくっているのだろうか。
   
 東電トップを厚顔無恥にさせたのはマスコミだったことが今回の事故で計らずも露呈することになった・・・     

                           (つづく)

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