中国による香港支配の拠点である中聯弁(中央政府駐香港連絡弁公室)に、デモが掛けられる直前に一斉逮捕劇は起きた。
逮捕されたのは、民主派のリーダー黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏、女神の周庭(アグネス・チョウ)、香港民族党の陳浩天(アンディ・チャン)の3氏。
黄氏と周氏の逮捕容疑は違法集会に参加したカドだ。6月21日、1万人のデモ隊が警察本部を包囲した件である。田中もこの現場を取材していたが、2人はここで演説し参加者を励ましただけだ。
黄氏はけさ7時20分頃、自宅から駅に向かう路上で車に押し込まれて、連行先の警察本部で逮捕された。
周氏はけさ9時30分頃、警察が自宅に踏み込んで来て逮捕された。
香港独立を目指す香港民族党の陣氏は昨夜、空港で逮捕された。日本に向かおうとしていた。
陣氏は7月15に九龍半島の上水であったデモの主催者で、警襲罪の容疑がかけられている。
黄氏と周氏はきょう午後5時58分(日本時間午後6時58分)、保釈金を積み一時保釈された。11月8日、再び裁判に臨む。再勾留もありえるため、まだ緊張は続く。
両氏は東区裁判所前で囲み会見を開いた。
BBC記者が「今回の逮捕(劇)には北京政府の影が見えるが」と質問すると、黄氏は「シー・ジンピン(習近平)が香港警察の尻を叩いた。政治的な刑事訴追だ」。
田中は周氏に「(翌日、中聯弁へのデモがある)このタイミングの逮捕劇をどう思うか?」と尋ねた。
周氏は「恐怖させて(デモに)出て来させないようにしても、私たちは出てくる。私たちは諦めない。民主化運動をやってて良かったと思う日が来るまで頑張る」と歯切れよく答えた。
一方で「12月か1月に日本に行く予定だったが、出国禁止となったため行けない」と肩を落とした。
黄氏は9月初旬に台湾を訪問する予定だった。中国は3氏を外国に出さないようにするため、逮捕したともとれる。
民陣(民間人権陣線)は、あす中聯弁に向けてデモ行進することを警察に申請していたが、警察は認めなかった。
先の200万人デモ、170万人デモを主催したのは民陣である。
それでも民主派勢力はあす、中聯弁へデモを掛ける構えだ。無届けデモとなるため、参加者はことごとく逮捕されることになる。
大中国の皇帝が力で押さえ込んでも、香港の自由を守ろうとする市民は、逮捕を恐れずに路上に出るつもりだ。
~終わり~
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逮捕されてもなお、香港の自由を守るために大中国と闘う人々を取材するために、現地まで足を延ばしました。
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