文・橋本玉泉 / フリーライター
ゴールデンウィーク中、非正規雇用者の収入は大幅減となる。魔の週間だ。
地下鉄駅構内でガードマンとして働く筆者の報酬は現在、1勤務1万円から1万4千円程度。
日当ではない。1勤務あたり、12時間から17時間働く。長時間労働だ。時給に換算すれば、最低賃金に少し色がついた程度である。
これがゴールデンウィークの期間中は、勤務時間が9時間程度。報酬も1勤務7千円ほどになる。通常の半分だ。
時間が短くなった分、他の仕事を掛け持ちすればいいと思われるかもしれない。だが、そううまくはいかない。移動時間や準備があるため、2つの現場を同時には難しい。
筆者個人としては、おそらくゴールデンウィークだけで3万円以上の減収となるだろう。通常の月収20万円から3万円減るのは痛い。
だが、まだ仕事があるだけでもましである。ゴールデンウィーク期間中、仕事がまったくなくなってしまう仲間たちも少なくない。
まず工事関係はほぼ皆無の状況だ。もちろん、毎年のことなので誰もがあらかじめ代わりの仕事を探してはいる。だが、もともと仕事の数や稼動現場が少ないので、全員が仕事を得られるわけではない。
生産現場でも、事情は同じである。53歳の知り合いの男性は、「4月29日から5月7日まで失業だ」ともらす。
彼の働く精密機械メーカーでは、5月1日と2日も生産ラインを停止し、9日間の休業を決めた。
この休業によって、彼は4万円以上の減収となる。ただでさえぎりぎりの生活をしている身で、4万円も収入が減るという現実は文字通り死活問題である。
そして、筆者も含め、中高年労働者が急場をしのぐ代わりの仕事を探すのは大変だ。たとえ求人があったとしても、年齢や経験などで断られるケースが少なくない。体力的に無理だったり、資格その他ではじかれることもある。
「休日でも、祝日でも働きたい。何でもやりたい」と願い、どんなにやる気と体力があっても、努力しようという意思があっても、現実には拒絶されることが多いのである。
「連休はどうするんだ?」仲間同士で交わされるこの言葉は「連休をどう乗り切るんだ?」という意味である。
~終わり~