菅義偉官房長官、稲田朋美防衛相に「白紙領収書問題」が発覚した。ところが菅官房長官の「問題ない」(6日、衆院予算委)のひと言で在京テレビ局と全国紙は一斉に沈黙してしまった。
同じような問題に直面しても富山の地元紙は沈黙しなかった。徹底追及し議員を辞職に追い込んだのである。
白紙領収書や偽造領収書を用いるなどして政務活動費を不正受給していた議員12人(自民10人、民進2人)が辞職した富山市議会。同市議会の補欠選挙がきょう、告示された。
立候補者の中にひとりの主婦がいた。上野ほたる候補(32歳)。2児のママである。政党と支援関係のない真の無所属候補だ。
立候補の大きなきっかけは、市政の政治活動費不正受給だった。
「市政と市民が本当に求めるものがかけ離れていると思う。私は一市民。市民中の市民なので、市民の気持ち、子どもを育てる母親の気持ちもわかる。
大きな政党に有利な仕組みができてしまっている。今後変えていかないと自分たちのためにも子ども達のためにもならない」。上野候補は切々と語った。
市議会の開催日は年40日前後。議会での一般質問時間はひとり年間60分。仕事は ほとんど していないと言ってもよい。兼業も認められている。
にもかかわらず議員たちは60万円の月収を70万円に上げる条例案を可決したのである。あげくに不正受給である。
手口はこうだ ―
業者から大量にもらった領収書に自分で金額を書き込む、領収書をパソコンで偽造する、1ケタ多く数字を書き込んで水増し請求する等々。
地元紙『北日本新聞』によると不正が判明し、返還された金額は自民党会派が2048万円。民進党系も合わせた返還総額は4028万円にものぼる。
政務活動費は議員一人当たり年間180万円支払われているが、富山市議会の全会派が使い切っていた。市民オンブズマンの調査によると、「使い切り率100%」は、全国47の中核市では富山市議会だけだった(昨年度)。
補欠選挙にかかる費用は1億円。議員の不祥事を税金で賄うのである。有権者はたまったものではない。
~終わり~
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