若者の問題意識に目隠しは利かない。創価大学の学生が、きょう、山本太郎議員の質問を聞くために参院安保特委を傍聴した。
国会傍聴に訪れたのは、創価大学2年生Aさん(20歳・千葉県在住)。安保法案反対の署名はしたが、口には出していない。国会には学会員の両親に内緒で足を運んだ。
安保法案追及の急先鋒に立つ山本議員は、同法案の成立を目指す与党公明党にとって厄介極まりない存在だ。
公明党の支持母体である創価学会は、「戦争法案」との指摘がある今回の安保法制で揺れる。Aさんの国会傍聴は、学会内部で起きていることの象徴でもある。
「どうしてこんな法案が出てきたのか? 憲法学者は『違憲である』と言っているし・・・」。Aさんは首を傾げる。
「(山本)太郎さんの質問で法案の問題点が整理できる。普通の人が知りたいことを飾らない言葉で質問してくれる。太郎さんの質問を聞くために来た」。
20歳はみずみずしい問題意識を素直に語った。
山本議員の追及はきょうも厳しかった。夥しい数の民間人を虐殺した米軍の「イラク・ファルージャ掃討作戦(※)」をもとに、安倍首相に迫った―
「(戦争犯罪を定めた)ジュネーブ条約に違反する米軍に後方支援することは、日本も共犯者になりはしないか?」と。
安倍首相が「私は検証する材料を持っていないのでお答えできない」とかわすと、山本議員は「(ファルージャ掃討作戦の)検証委員会を設けて下さい」と畳みかけた。
(ここで午後6時となりNHKは山本議員の追及を途中で切った)
傍聴席にチョコンと座った小柄なAさんは、メモを採るのも忘れて山本議員の質問に聞き入った。感想を聞いた―
「この法案が通ったら、自衛隊は人を殺す米軍の支援に携わるようになる。つまり加害者の側に立つ。創価学会員というより、人間として一人の国民として平和を大事にしてゆきたい」。
Aさんは続けた。「公明党が平和の党を掲げるのであれば、『大衆と共に』という立党の精神に立ち返ってほしい」と。
山本議員は創価大の学生が傍聴に来ることを事前に知らされていた。質問が終わり委員会室から出てきた山本議員はAさんを見ると「頑張りましょう」とエールをおくった。
あどけなさが残るAさんの顔が、ほころんだ。
~終わり~
※
2004年イラクのファルージャで米軍によって行われた掃討作戦。4月には千人近い住民が、11月には約6千人が殺害された。子供、女性、民間人の多くが犠牲になった。
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