原発事故発生から間もない2011年3月30日、東電本店で勝俣恒久会長(当時)の記者会見が持たれた。勝俣会長は東電の最高権力者であるばかりか、政界にも隠然たる力を持ち、日本のエネルギー政策を壟断していた人物だ。
福島原発の事故発生当時、勝俣会長はこともあろうにマスコミOBらと中国旅行を楽しんでいた。
田中の追及に対して勝俣会長はマスコミOBとの中国旅行を認めた。旅費も「(東電側が)多めに出した」と明かした。
追及を続けていると「一人よがりの質問をするな」と記者クラブからヤジが飛んだ。マスコミと電力会社の癒着をあらためて感じるのだった。
九電・川内原発の再稼働を機に、癒着の象徴とも言える会食問題をあらためて問う ――
~【再掲】 「アベ寿司友」と原発の浅からぬ関係~
マスコミ幹部と安倍晋三首相が頻繁に会食する西新橋の高級すし店。その土地と建物は原発関連企業の所有であることが分かった。
登記簿によると直接の所有権は不動産管理を手掛けるA社となっている。だが民間の調査機関によればA社は、原発の警備を主たる業務とするB社の関連会社だ。子会社といってもよい。
会社登記簿に記載されているA社の住所(西新橋)を訪ねたところ、なんとB社があった。両社は役員1人と監査役1人が重複する。
寿司店の土地と建物には、B社がC建設に40億円もの債務を負った際の担保が設定されていた(現在は抹消)。C建設は原発建設ではおなじみのゼネコンだ。
B社の監査役には元東電幹部が名を連ねた時期もあった(現在は退任)。
法務局からあがってきた不動産登記簿と会社登記簿を見て驚いた。これほどまでに分かりやすい図式で「寿司店」「原発」「安倍首相」「マスコミ幹部」がつながっていたのか、と。
マスコミ各社のコメンテーターが、原発をめぐって否定的な見解を述べない理由の一端がここにある。安倍首相が再稼働に強い意欲を示すわけが窺える。
原発に対して厳しい論調で臨む東京新聞は「寿司友」のメンバーではない。
ビルの谷間に“咲く”高級寿司店は、東電本社から歩いて5分ほど。それにしても一戸建ての和風建築が40億円の債務の担保になるとは・・・
寿司といえばベルトコンベヤーで回って来るものしか思い浮かばない筆者には想像もつかない世界だ。そこには原発と政治とマスコミの闇がある。
※
読者の皆様。「寿司店」「寿司店の土地と建物を所有する企業」「建設会社」は、本来ならば実名で報道すべきです。
しかし訴訟を起こされた場合、田中には裁判闘争に耐えうる財力はありません。
実際、原発利権をリポートした某ジャーナリストは、6千万円を超す高額訴訟を起こされています。残念で仕方がありませんが実名報道は控えることにしました。
法務局で登記簿をあげれば、いずれも名称が出ます。
◇ ◇
読者のご支援なくして『田中龍作ジャーナル』は続きません。
◇
『田中龍作ジャーナル』では取材助手を募集しています。時給、交通費払います。ジャーナリスト志望の若者を歓迎します。学生可。詳しくは…tanakaryusaku@gmail.com