渋谷区の野宿者排除に違法判決 次は商業施設で完全締め出し

宮下公園沿いに並ぶ野宿者のテント。商業施設の建設に伴い強制撤去される可能性が高い。=14日、渋谷区 写真:筆者=

宮下公園沿いに並ぶ野宿者のテント。商業施設の建設に伴い強制撤去される可能性が高い。=14日、渋谷区 写真:筆者=

 
 「野宿者を担ぎ上げての排除はやり過ぎ」。 司法が渋谷区の公園行政を厳しく指弾した。

 東京地裁は13日、宮下公園を多国籍企業のナイキに運営させるため渋谷区が野宿者を「担ぎ上げる」などして強制排除した(※)のは違法であるとの判決を言い渡した。

 判決はまたナイキとの契約は随意契約で議会の承認も得ておらず、地方自治法にも違反しているとした。

 事件は2010年9月に遡る。渋谷区はフットサル場、ローラースケート場などを備えたナイキパーク建設のため、大勢の警察官を使って公園から野宿者を排除したのである。

 新自由主義の手先となって利益追求に走る渋谷区の公園行政が断罪された格好だ。

 今夕、週末恒例の炊き出し(共同炊事)が宮下公園沿いの空き地で行われた。昨日の判決を受け雰囲気が明るい。野菜や肉を刻む包丁の音も軽やかだ。野宿者と支援者の会話はいつにも増して弾んだ。

警察隊がなだれ込み支援者たちをゴボウ抜きにすると、ガードマン(手前)が野宿者を担ぎあげて排除した。=2010年9月、宮下公園 写真:筆者=

警察隊がなだれ込み支援者たちをゴボウ抜きにすると、ガードマン(手前)が野宿者を担ぎあげて排除した。=2010年9月、宮下公園 写真:筆者=

 「勝ったからといって公園が開放されるわけではないが、司法が違法と認めた意義は大きい」。ある野宿者は顔をわずかに ほころばせ ながら語った。

 行政の本分を忘れ営利追求に走る渋谷区は、新手の暴挙を計画している。宮下公園を3階建ての商業施設やホテルに改装しようというのだ。三井不動産が運営する。

 公園は商業施設の屋上になるという。

 「公園が一番上にあるんじゃ、俺たちはやはり行けないね。ガードマンが(ビルの)入り口に立ってたりするだろうからね」。野宿者は顔をしかめる。

 新施設は東京オリンピック開催前年の2019年に開業する予定だ。

 公園沿いには野宿者のテント約20張がある。商業施設とホテルの建設に伴い排除されそうだ。

 別の野宿者は「どかされるのは目に見えている」と吐き捨てるように言った。

 「お金のない人はどんどん切り捨てられていく世の中を象徴している。パブリックじゃない」。毎週、炊き出しを手伝う支援者の女性は、渋谷区を批判した。

 大企業と株の所有者だけが潤う安倍政権と渋谷区は相似形だ。

 ◇
(※)
渋谷区はスポーツメーカー「ナイキ」に年1,700万円の契約で公園のネーミングライツを売却。ナイキは公園内に有料のフットサル場、ローラースケート場などを建設した。

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