収入が低いため親と同居しなければホームレスになる。結婚なんて夢のまた夢・・・
民間団体の調査でワーキングプアの生活実態が住宅事情を通して くっきり と浮かび上がった。(主催:認定NPO法人 ビッグイシュー基金)
同基金の住宅政策提案・検討委員会は「20~39歳」「未婚」「年収200万円未満」を条件に、インターネットで広範なアンケート調査をした。1,767人から回答があった。
~4人に3人以上が親と同居~
先ず驚くのは「親との同居」が77・4%(4人のうち3人以上)もいることだ。そうならざるを得ない実態を示すのが以下のデータだ―
手取り月収は
「なし」が18・5%
「15万円未満」が57%
収入に占める住居費(家賃)の割合は
「30%以上」が57・4%
「50%以上」が30・1%
収入から住居費(家賃)を引くと
「マイナス」が27・8%
「10万円未満」が49・9%
この数字が示すのは、「2人に1人は家賃のために働いている」「4人に1人以上が自分の収入では家賃さえも賄えない」ということだ。
労働者の収入は低く、世の家賃は高いということである。親の家に住まなければ路上に弾き出される。その実態には慄然とする。
生活環境の劣悪さは結婚観に表れる。
「結婚したいとは思わない」…34・1%
「結婚できるか分からない」…20・3%
「結婚したいができないと思う」…18・8%
4人のうち3人が結婚をあきらめているのである。
今や20歳~30歳の有職者のうち30%が年収200万円未満だ。(総務省・就業構造基本調査=2012年)
20歳~39歳の未婚者の14・3%は無職。(国勢調査=2010年)
ワーキングプアの生活実態調査は決して偏った数字ではない。国の調査からも裏付けられているのだ。
ホームレスの居住支援に取組む「NPO法人・もやい」の稲葉剛代表は、ワーキングプアの住宅事情を「社会に仕組まれた時限爆弾」と危惧する。
調査にあたった神戸大学の平山洋介教授は日本の住宅政策のお粗末さを指摘する。「政府が家賃補助をせずに会社が家賃補助してきた。家賃補助は先進国中、最低だ」。
雇用者の36・7%を占める非正規労働者は家賃補助など望むべくもない。
平山教授は「社会で家賃補助をする仕組みを作るべき」と提案する。
労働者全体のうちワーキングプアは40%を占める。4人に3人が結婚をあきらめているようでは、人口は減る一方だ。
安倍さん、最も効果ある少子化対策は非正規社員を減らし、住宅政策を充実させることです。