2014年12月10日は「日本が再び戦争国家へと転がり始めた日」として未来の歴史教科書に記述されるであろう日となった。「治安維持法が復活」というようなタイトルがつくだろうか。
きょう、特定秘密保護法が施行された。東京新聞によれば外務、防衛両省だけでも秘密指定は6万件以上に上る。これに警察庁なども加わる。数えきれないほど膨大な件数だ。
一般の市民には何が秘密なのか、さっぱり分からない。知らずに触ってしまえば、最高で5年の懲役だ。洩らした公務員は最高で10年の懲役となる。地雷原を歩くようなものだ。威嚇効果は十分である。アベ首相の ほくそえむ 顔が見えるようだ。
施行日の朝、首相官邸前には「平成の治安維持法」に危機感を抱いた人々が集まり抗議の声をあげた。(主催:秘密保護法廃止実行委員会)
海渡雄一弁護士が口火を切った。「戦争をする国は必ずウソをつく。ウソをつくから秘密にしたいんです」。海渡弁護士は法律家らしい指摘をした。
知る権利を奪う法律は、知らせる側を縛る。首相側近が選挙報道をめぐってテレビ局に圧力をかけたのはその嚆矢だ。
新聞労連の新崎盛吾委員長はマイクを握って訴えた―「法律(特定秘密保護法)を陰に陽に利用しながら、政権に批判的なメディアに圧力をかけてくるだろう」。
特定秘密保護法は、安倍政権がゴリ押しした稀代の悪法にもかかわらず今回の選挙の争点になっていない。
神奈川から足を運んだ主婦(60代)は「インチキな国政選挙が行われようとしている。国民主権が侵害されることのないようにしなければ…」と危惧する。
「特定秘密保護法を廃止します」と書いたゼッケンを背中に貼った男性(70代・立川市)は、電車の中で「もうダメじゃないのか」と声をかけられた。
男性は「法律はいつでも廃止できるんです」と説いたという。「選挙で変えるしかない。生きている間に廃止したい」と力を込める。
男性は18歳の時、安保闘争を経験した。「日米安保より秘密保護法の方が危険」と警鐘を鳴らした。