衆院選挙前、日本外国特派員協会(FCCJ)で恒例となっている各党の記者会見に、今回は自民党と公明党が出席しない。
特派員協会の招待(出席要請)を自公両党が日程調整の難しさを理由に断ったからだ。
自公両党とも恒例の記者会見には、これまでほぼ毎回出席していた。自民党は野党時代には総裁が、与党となっては幹事長か政調会長が出席していた。公明党はトップが足を運んでいた。
今回、両党のスケジュールが厳しいというので、外国特派員協会側が「役職にはこだわらない」と譲歩し、再三出席を要請したが、断られた。
外国特派員協会の記者会見は、日本の記者クラブとは違って、権力に対する追及が厳しい。
9月には山谷えり子・国家公安委員長が在特会との関係を外国人記者から徹底的に問いただされた。
山谷大臣が在日特権を認めるかのようなコメントを日本のラジオ番組に寄せていたことが明らかになり、記者会見場が騒然となる場面もあった。
「山谷の件があり、安倍政権から自民党と公明党に『FCCJ(外国特派員協会)の記者会見には出席するな』と お達し が出ているのではいないか」。こう見るのはアメリカ人記者だ。
ドイツ人記者は自公の出席拒否について次のように語った―
「自民党が会見に来ないというのは聞いている。自民党は忙しいというのは分かるが公明党も?」
「問題になったのは前の記者会見で厳しい質問をしたからじゃないのか。山谷(国家公安委員長)の時とか。NHK経営委員の(百田尚樹)は拒否したし、彼らが(特派員協会を)好きではないという気がする」
「ここではアベノミクスだけじゃなくて、歴史認識とかについても聞くからだ。来たくない、質問されたくない。ウソをついているのではないか」。
イタリア人記者は「与党は来ない方が得と考える。ベルルスコーニ(当時)も記者会見には来なかった」とクールに受け止めていた。
軽減税率をエサに記者クラブメディアを完全に手なずけている安倍官邸。日本の有権者を洗脳するのは日本のマスコミだけで十分と考えているのだろうか。
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