自民党の松島みどり候補(東京14区)と谷垣禎一幹事長が今夕、スカイツリーの真下で支持者を前に演説した。
盆踊りで有権者に団扇を配った問題で10月に法相を辞任した松島候補は、地元の支持者に深々と頭を下げ「済みませんでした」と謝罪した。だが団扇の「ウ」の字も口に出さなかった。
松島候補は安倍政権になって「賃上げをした」「雇用が増えた」と強調した。アベノミクスお決まりのゴマカシである。
アベノミクスが裏目に出ているにもかかわらず、谷垣幹事長は「今が胸突き八丁です。この壁をどう乗り越えるか?」と苦しい言い訳をした。
野党が指摘する貧富の差については「はしこい人は先に成長している…」とかわした。
街頭演説に先立ち松島候補は押上駅の出口で通勤客にチラシを配ったが、受け取る人はほとんどいなかった。
~地元商店街はシャッター通り~
スカイツリーの“ふもと”にある墨田区「キラキラ橘商店街」。松島議員の地元だ。狭い路地の両側に小売店が並ぶ。典型的な下町の商店街だ。100店舗余りのうち約30店舗はシャッターが降りていた。
営業している商店に聞くといずれも「アベノミクスの恩恵はない」と答えた。
松島議員を辞任に追い込んだ「ウチワ問題」については、「問題にする方がおかしい」と誰も気に留めていないようすだった。
電器店の経営者は「(4月から導入された)消費税で売り上げが落ちた」「うちは(電気)工事もやっているから何とかいけているが、家電だけだったら、やっていけない」と力なく語る。
喫茶店も深刻だ―
「来年、消費税が10%に上がると聞いていたので、その時に値上げしようと考えていた。だから今年4月、5%から8%になった時は値段を据えおいた。ところが10%への増税は見送られた。一方でコーヒー豆の仕入れ値は上がる。コーヒー屋さんはやっていけないよ」。オーナーは悲鳴をあげた。
果物屋も不景気の波をモロにかぶっているようだー
「皆さんの景気が良くないとウチを素通りしちゃう。(果物は)米やパンのような必需品じゃないからね」。経営者はあきらめ顔だ。
スーパーの進出やスカイツリーの登場が商店街にとって痛手となっているようだ。
「地元の人でもスカイツリーに行って、買い物をしたりお茶を飲んだりするからね」。前出の喫茶店オーナーは渋い表情だ。
観光スポットでありショッピングタウンでもあるスカイツリー。松島候補は「スカイツリーを持ってきた」と豪語した。
庶民を取り残して大資本だけが繁栄する。松島候補と谷垣幹事長は安倍政権を象徴するような巨大施設の真下で演説した。二人の声は「キラキラ橘商店街」にまでは届いていないようだった。