
国民民主党の榛葉幹事長。立憲・安住幹事長からの提案を「冗談半分で言う話ではない」とバッサリ。=10日、衆院会館 撮影:田中龍作
やはり政治は人だった。自民党は公明党を軽んじていた。痛すぎるほどのシッペ返しだった。
高市総裁との会談が決裂した後、記者会見した斉藤鉄夫代表は、萩生田光一の名前こそあげなかったが、裏金問題に対する自民党の反省のなさを厳しく指摘した。
萩生田の根城である八王子市は、統一教会の拠点なのだが、創価学会は昨年の総選挙で屈辱を味わっている。
にもかかわらず高市は萩生田を幹事長代行という要職に起用したのである。あまりに公明党への配慮が足りなさすぎた。

裏金問題に対する世間の怒りを実感できなかった自民党は公明党に強烈なノーを突き付けられた。=2024年2月、検察庁前 撮影:田中龍作=
配慮のなさは野党第一党の幹事長も同じだ。8日、国民民主の榛葉幹事長は立憲の安住幹事長と首班指名選挙をめぐって会談した。
安住から榛葉に「玉木代表で一本化していい」との提案があった。
会談後、榛葉は記者団に「冗談半分で言う話ではない。気概のある話かと思ったが拍子抜けした」と語った。
田中はきょう10日の記者会見で榛葉に「冗談半分とはどんな感じだったのか?」と尋ねた。
棒葉は「安住さん独特の言い回しです。それは…」と不快感を滲ませながら答えた。
田中が「独特の言い回しとはあの(相手を小馬鹿にしたような)ユーモラスな感じなのか?」と聞くと、榛葉は「安住さん独特の言い回しでおっしゃった」と答えた。
田中が「本気度や切迫感が感じられなかったのか?」と重ねて聞くと棒葉は「私の方から評価するものではない」と顔をそむけた。不機嫌オーラが体中から発散していた。

安住幹事長。野党連立協議で榛葉幹事長に突っぱねられた。=9月、立憲本部 撮影:田中龍作=
榛葉が強調するように政策の合意も政権の枠組みも大事である。だがそれ以前に人間同士の信頼関係がなければ交渉の入り口に立つことさえできない。
拙ジャーナル前稿で、自民党と社会党の連立が生んだ歴史的な「村山談話」について綴った。
政治を大きく動かす時は、政策よりも人間の心をつかむことの方が大事である。
ウルトラCの連立を仕掛けた自民党の梶山静六、野中広務(両者とも後に官房長官)は、人並み外れた気配りのできる政治家で、自分より立場の弱い相手に偉そうな口をきくことはなかった。
~終わり~
◇
田中龍作ジャーナルは読者のお力で維持運営されています。