「週末香港族」はどこに消えた

田中が「私のような日本の貧乏人にとってユニクロは高嶺(値)の花だ」と言うと、イタリア人旅行者は『信じられない』と言った顔をした。=23日、銀座 撮影:田中龍作=

景気がよかった30~40年前、「週末香港族」なる種族がいた。独身世代のOLなどが金曜夜の便で東京を発ち、日曜日の夜の便で戻ってくる。

円が強かったのでショッピングやグルメを満喫できた。今となっては、夢のような話だ。

円がすっかり弱くなると真逆のことが起きた。中国はじめアジアの近隣諸国から日本に来て、ショッピングやグルメを楽しむ。

銀座では日本語以上に中国語やハングル(韓国語)が飛び交う。ブランドショップに外国人が長蛇の列を作る。

フィリピンからのグループ。チープな国ジャパンに来て弾けていた。=23日、銀座 撮影:田中龍作=

閣僚はじめ自民党議員たちは見て見ぬフリをするが、ここまで円が弱くなったのは、アベノミクスが元凶だ。

その一つ。株式市場に海外からの投機マネーを呼び込むために無理な円安誘導をしたのだ。株式市場だけ空前の好景気だが、日本は貧しくなった。

円が安ければ、日本人には手の届かない高額の不動産物件の購入も、豊かな外国人にしてみれば困難なことではない。

だが貧しい日本人の目には脅威に映る。貧しくなったのは、アベノミクスや雇用法制の行き過ぎた緩和など歴代自民党政権の政策のためなのに、ひたすら外国人のせいにする。安価な労働力欲しさで「研修生」を呼び込んでいながら、用済みになると不法残留に追い込む。

ここを巧く煽れば票になる。与野党問わず、政治家たちは移民の脅威と外国人政策の強化を声高に訴え始めた。

銀座は外国人だらけ。国際観光都市と言えば聞こえはいいが。=23日、撮影:田中龍作=

「外国人観光客の一部が奈良公園の鹿を足で蹴り上げる、殴って怖がらせる」と主張する自民党総裁候補まで現れる有様となった。

ナチス抬頭の素地となったように、世の中が貧しくなると排外主義が蔓延(はびこ)る。だが外国人を追い出したところで世の中豊かになりはしない。拝外主義は邪道だ。独裁国家が用いる手法でさえある。  

小泉竹中とアベノミクスの総括をしない限り、日本の再生はない。

 ~終わり~

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