再掲載 【ベネズエラ・カラカス発】インチキと独裁の行き着く先 

公設市場。食料などを求めて人々が待つが、品物がないのでシャッターが下りたままだ。取材車からの隠し撮りのため写真の出来は悪い。ご了承下さい=18日、カラカス市内 撮影:田中龍作=

公設市場。食料などを求めて人々が待つが、品物がないのでシャッターが下りたままだ。取材車からの隠し撮りのため写真の出来は悪い。ご了承下さい=18日、カラカス市内 撮影:田中龍作=

取材は2019年3月。当時300万人だった国外脱出者は770万人と倍以上に増えた。

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 ハイパーインフレで食料は手に入らず、子どもはゴミ箱を漁る。餓死者も珍しくない。医薬品もなく患者は苦しみながら死んでいく。すでに人口の約10%にあたる300万人が国外に脱出した。

 田中を南米ベネズエラまで駆り立てたのは、マドゥロ独裁政権が安倍政権の進化バージョンだったからだ。

 逆に言えば安倍政権を、このまま好きにさせておくと日本がマドゥロ政権のようになるということだ。

 最高裁を支配下に置くマドゥロ大統領は、2017年8月、自らが設立させた制憲議会を国権の最高機関とした。自民党改憲草案にある「緊急事態条項」が議会という形で常態化されたのである。

 何よりこの政権は正統性を欠く。マドゥロ大統領は2期目を目指す2018年の大統領選挙で、野党の有力候補を投獄、国外追放し、実施したのだ。欧米諸国はこの選挙を「不正である」として認めていない。

公共輸送機関が少ないためトラックの荷台に乗る人々も。18日、カラカス市内 撮影:田中龍作=

公共輸送機関が少ないためトラックの荷台に乗る人々も。18日、カラカス市内 撮影:田中龍作=

 安倍政権の正統性はどうだろう。2017年秋、総選挙で安倍自民は大勝した。だが同年春、発覚した森友学園問題で、国有地払下げをめぐる公文書改ざんが、ちゃんと表に出ていれば、選挙結果は違ったものになっていたはずだ。

 安倍政権とマドゥロ政権はインチキぶりまで似ている。国民を欺くことも独裁の手口のひとつであることを考えれば無理もない。

 ハチャメチャな経済政策もよく似るが、マドゥロ政権とて経済指標を上げるために政府の統計まで偽装したりはしていない。

 安倍政権は壮大な規模で国民をペテンにかけていたのである。官邸に手なずけられたマスコミが、安倍首相の口移しで報道するため、国民は騙され続けてきた。

 話をベネズエラに戻そう―
外国のジャーナリストが次々と逮捕され、なかには遺体で見つかるケースもある。田中は治安当局に拘束されるまで発信する。きょうは第一報。

   ~終わり~

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