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シルワン地区。住民の95%超がアラブ人である。=10月、東エルサレム 撮影:田中龍作=
山の斜面に貼り付くようにして集合住宅がひしめいているのは、東エルサレムのシルワンと呼ばれる地区だ。
第3次中東戦争(1967)でイスラエル軍が奪取するまではヨルダン領だった。イスラム教徒の聖地アルアクサの丘とユダヤ教徒の聖地嘆きの壁まではわずか数百mの近さである。
住民の95%超はアラブ人だ。だが近年になり資金力のあるユダヤ人が高層階を買い取り居住するようになった。
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高層階に裕福なユダヤ人が居住し、下はアラブ人が住む。=10月、東エルサレム 撮影:田中龍作=
同時にイスラエルはユダヤ人の安全確保を名目に警察力を行使するようになった。一帯は監視カメラだらけだ。
シルワン地区はベングビール国家治安相がアラブ人を根こそぎ追放したい地区の一つとされる。「アラブ人に死を」と叫ぶ極右閣僚が民族浄化を目論むエリアなのである。
ベングビール氏は昨年12月、国家治安相に就任するとすぐに「東エルサレムではパレスチナ国旗を路上など公の場に掲揚してはならない」とする大臣令を発出した。法律ではない。
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マンション住民が自宅前にパレスチナ国旗を掲げていたため、イスラエル国境警察がやってきた。=2月、東エルサレム・シルワン地区 撮影:田中龍作=
今年2月、シルワン地区で集合住宅の駐車場前にパレスチナ国旗が掲げられ、イスラエル警察が撤去に来る事件があった。住民は抵抗した。
だが一個小隊で出動した警察は催涙弾を放つなどして鎮圧。力づくで旗を撤去した。
パレスチナのナショナリズムを認めないイスラエルが、次に排除にかかるものは何か。
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国境警察は有無を言わさずパレスチナ国旗を撤去した。=2月、東エルサレム・シルワン地区 撮影:田中龍作=
~終わり~