ガザ最北端の街ベイトハヌーン。田中の頭上を凄まじい金属音を立ててハマスのロケット弾がイスラエルに向けて飛んでいった。
それから数十秒としないうちにイスラエル軍のミサイル攻撃が始まった。地響きを立てながら次々と着弾する。
玩具に毛の生えたようなロケットとミサイル。破壊力で言えば10倍返しである。
女の子は泣きながら逃れてゆく。母親は涙を必死にこらえていた(写真)。津波でも襲ってきたかのように人々は一斉に南へ避難していった。ロバのいななく音が人気のなくなった街に響いた。2014年戦争のことである。
ガザは南北に細長い。北は鬼より怖いイスラエルだ。住民は南に向かって避難するしかないのだ。
10月7日に始まった今回の戦争で、ガザ住民はイスラエル軍から南部への避難を命じられた。ルートまで指定されて。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば住民150万人が避難した。移住の強制は民族浄化にあたる。イスラエルは一体、どれくらい人道に対する罪を犯せば気が済むのか。
BBCの現地からのリポートによればサラハディーン・ロードは爆撃でやられている。
日中のガザは熱中症にかかるほど暑い。人々は水もなく炎天下を歩く。それも道なき道を。
恐怖と肉体的苦痛はいかばかりだろうか。
~終わり~