世論の反対でかろうじて止まっている神宮外苑の樹木伐採。国際記念物遺跡会議(ICOMOSイコモス)は7日、外苑地区の再開発にヘリテージアラートを発出した。
遅きに失した感がある。もっと早く出すべきだった。すべての企みは新国立競技場の建設(2016年着工/2019年完成)にあったのだから。
開発業者と東京都と政府は、新国立競技場の建設を大義名分に神宮外苑の環境規制を緩和させた。
外苑地区再開発は秩父宮ラグビー場、神宮球場を移動させ伊藤忠本社を巨大ビルに建て替える。規制緩和の賜物だ。
再開発に伴い3千本ともいわれる外苑の樹々は伐採される。
事業者は新国立競技場建設の際、周辺の樹木1,500本を伐採した実績がある。再開発を止めない限り緑地は破壊されるのだ。
新国立競技場の建設に伴い旧競技場のすぐそばにあった都営住宅が解体撤去された。240世帯の暮らしは巨大開発の前に泡のように吹き飛んだのである。
取り壊される前、田中は都営霞ヶ丘アパートに幾度も足を運んだ。
「静かで、緑も多い。年寄りだから住み慣れた所を離れたくないんだけど、そんなこと言えないからねえ」。
都営霞ヶ丘アパートに住んで半世紀余りになる主婦(当時75歳)は寂しそうに語った。
再開発に庶民の犠牲はつきものだが、外苑の森伐採は環境破壊という大き過ぎる犠牲を伴う。
~終わり~
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