この男がいなかったら、日本というブラックボックスは永遠に闇の中だった。
ジャーナリストの鈴木エイトが、きょう21日、日本外国特派員協会の「報道の自由賞」を受賞した。
権力に不都合な案件でも記者会見を開く特派員協会だからこその授与である。この日はジャニーズの性加害を追及した『週刊文春』も受賞した。
昨年7月、安倍晋三元首相が、統一教会信者2世に殺害された事件を機に、教団と与党自民党との関係が一気に表に出た。
鈴木エイトは20年も前から統一教会を追い、10年前からは安倍首相と菅官房長官(両者とも肩書は当時)が統一教会と裏で取引していることを追及してきた。
マスコミに持ち込んだが、あまり響かなかった。10年の歳月と共に転機が訪れた。安倍元首相暗殺事件である。
エイトは綿密な取材で長年蓄積していたデータをマスコミ各社に無料で提供した。
「メディアが監視できていなかったから(政治と教団の)関係が強まってしまった」と指摘する。
統一教会問題追及の名手は経産省を出入り禁止になっているのだそうだ。どうして経産省?と不思議に思う向きもあるだろう。
統一教会との関係が取り沙汰されていた菅原一秀氏が経産大臣を務めていた頃(わずか1ヵ月余り)、エイトは「やや日刊カルト新聞」の藤倉善郎総裁と共に大臣記者会見に出席した。
会見後、経産省から連絡があり「未来永劫に出禁です」と言い渡されたそうだ。2019年10月のことである。
記者会見に先立って2人は菅原大臣の地元事務所(練馬区)を訪問した。事務所は制服警察官を呼んだ。
経産省への出禁はこの経緯を知る菅原氏の指示と考えるのが妥当だ。
とにもかくにもエイトの取材は徹底している。
今後の課題を「大物政治家の追及が残っている」「勇気ある告発者の保護」とした。
エイトが亡き者になれば、大喜びする自民党議員は数えきれない。
「身辺には気を付けるようにしている」というエイト。暗殺のあった奈良で営まれた一周忌法要の取材では防刃服を着用した。
(文中敬称略)
~終わり~
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