「新自由主義からの脱却」掲げ市議会目指す元トラック運転手

師弟コンビの街宣はなかなか味がある。マイクを握っているのが嶋崎英治・三鷹市議会議員。=12日、つつじヶ丘駅前 撮影:田中龍作=

 「竹中平蔵を政界から排除してほしい」…パソナ本社前で訴え続けてきた青年がいた。会場を新宿西口に移すこともあった。

 「いい大学に行った友人が派遣社員となって、自分よりも安月給。結婚もできない。探っていくと竹中・小泉政治に行き着いた」と話す。

 青年の名前は甲斐まさやす(元トラック運転手・45歳)。23日投票の三鷹市議会議員選挙に無所属で立候補する。初挑戦だ。

 市議会議員選挙でアンチ新自由主義を掲げることは、決して大風呂敷ではない。水道民営化は多くの都市で差し迫った問題としてある。

 関西のどこかの都市のような公共財の売却はいずれ平穏な暮らしを脅かすことになる。

後ろ姿の青年は竹中平蔵と新自由主義への訣別を呼びかける甲斐まさやす。=2020年、竹中が会長を務めていたパソナ本社前 撮影:田中龍作=

 甲斐の街頭演説を聞きに行った。京王線つつじヶ丘駅前だ。駅自体は調布市にあるが、三鷹市に隣接しているため、三鷹の有権者が駅を利用する。

 外環道トンネル建設のズサンな工事のため床下が陥没した住宅街の最寄り駅である。

 外環道は三鷹市の地下をも走る計画だ。三鷹の有権者にとって明日は我が身なのである。

 大型トラックのハンドルを20年以上握り続けてきた甲斐は、関東じゅうの道を走り続けてきた。

 「外環道ができても渋滞は緩和されない。緑ナンバーを付けたプロの運転手だったら誰でも分かっている」と話した。

 昨年末、20年間務めた運送会社を退職した甲斐は翌日からマイクを持ち街頭に立った。暮れも押し詰まった12月29日のことである。

 甲斐はNEXCO東日本の現場事務所に「外環道の工事を止めるよう」に直談判に行き、国交省にも乗り込んだ。外環道ができても交通渋滞が緩和されないことを国交省も認めたという。

腰を折って相手と同じ目線で話すのが甲斐の信条だ。=12日、つつじヶ丘駅前 撮影:田中龍作=

 豊かな経験に裏打ちされた甲斐の訴えに道行く人の反応はいい。チラシがはけるのである。チラシは好感度のバロメーターだ。

 甲斐は今期限りで引退する嶋崎英治・三鷹市議会議員の意志を継ぐ。水道民営化に反対する議会陳情の紹介議員になってほしいと嶋崎を頼ったのが、きっかけだった。2019年のことだ。

 筋金入りのアンチ新自由主義である嶋崎は一も二もなく引き受けた。

 20年間持ち慣れた大型トラックのハンドルをマイクに握り替えて議場を目指す甲斐。街宣の最後をこうしめくくった。

 「新自由主義から脱却し命が最も大切とされる市政を目指します」。 

 (文中敬称略)

    ~終わり~

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