ロシア軍によるインフラ破壊で停電しインターネットもつながらない。凍死者が相次ぐのではないかと気を揉んでいたが、政府と自治体は対策を講じていた。
停電で凍える人々が暖を取り、スマホに充電し、インターネットで情報にアクセスできる…「無敵拠点」と名付けられた施設がウクライナ全土に3,700カ所(UNIAN:ウクライナ独立通信社まとめ)もあるのだ。
田中はこのうちブチャとキーウの「無敵拠点」を訪ねた。
ブチャとはロシア軍による大虐殺がありマスグレイブが見つかったあのブチャである。復興のようすを見たくもあった。
公園の一角に張られたテントの中に入ると、まず暖かいことに驚く。ヒートガンと呼ばれる強力ストーブが焚かれているのだ。パネルヒーターもある。幅7メートル、奥行10メートルほどの広さだろうか。
テントを訪れた住民は暖を取りながらスマホに充電し、インターネットにアクセスしていた。
テントを管理する国家非常事態庁のレスキュー隊員によると、テントは24時間オープンで、きょう(25日午前)だけで600人が利用した。
2人の子供を連れて暖を取りに来ていたスウェトラーナさんに話を聞いた。
彼女はロシア軍の占領が始まると子供たちを連れて地下に避難した。3月10日に国連の仲介で人道回廊が設置されブチャを脱出した。
「ロシア軍はウクライナ軍に勝てないことがわかると、生活インフラを攻撃、破壊してきた。ジェノサイドだ。ロシアはウクライナを消し去るつもりだ。だが私たちは自分たちの国と子供を守る」。
スウェトラーナさんは淡々とした表情で語っていたが、体の奥底からの怒りを感じさせた。
ロシア軍が破壊に破壊を重ねてもウクライナはあの手この手で立ち上がる。とりあえずテントまで辿り着けば凍死はしない。情報にもアクセスできる。
ロシア軍は次にテントを狙ってくるだろうが、今度は地下に「無敵拠点」ができるだろう。
~終わり~