秘書が泣き寝入りし、検察の手の裡を知る弁護士がいなかったら、菅原一秀前経産相は、のうのうと国会議員を続けていたことだろう。
悪徳議員の拠り所となっている検察は、菅原元議員の買収金額を小さくして不起訴にしたばかりではなかった。検察審査会外しを画策し告発をなきものにしようとしたのである。
元秘書と郷原信郎弁護士が、18日、日本外国特派員協会で記者会見し、菅原元議員と検察の悪辣さを明らかにした。
この日、「ムライソ・タカシ」と名乗る元秘書は初めてメディアの前で「顔出し」で臨んだ。名前は仮名だ。報復を恐れてのことだろう。
顔写真を撮られる前提で覚悟を決めてきたにもかかわらず、大メディアはほとんどいなかった。記者クラブメディア特有の検察への忖度である。会場にはフリー記者数名が来たのみだった。
ムライソ元秘書は、菅原前大臣の下では「違法行為が常態化していた」として、無理難題の数々を訴えた。
相手候補のポスターを剝がしてこいと命令されたり、被災地視察に行くと言いながら、実際はゴルフに行っていたなど、人間性を疑いたくなるような出来事もあった。町内会や集会への寄付行為も報道されたとおりだという。
後援会関係者の葬儀情報を拾ってくるのも秘書の仕事だった。情報をとりこぼすと「アホ、バカ」とののしられ、罰金を取られたという。パワハラの極みである。
盆暮れのカニメロンだけでなく、支持者の葬儀に香典、枕花代を渡してくることも菅原事務所では日常だったのである。
秘書が香典を渡しているところを週刊誌がスクープした際も、「秘書がカネをもらって撮らせた」と言い逃れしていた菅原前経産相。
選挙違反の罪に問われる行為を自らは手を汚さず秘書に強要しながら、発覚すれば責任逃れをする。
顔出しで訴えたムライソ元秘書は「起訴されても何の説明もしていない。まるで自分が嵌められたかのように言っている。反省しない野郎だな」と口を極めて罵った。
略式起訴では罰金のみで公判は開かれないため、メディアから逃げ回れば有権者に対して何ら説明する必要もない。最大5年、うまくすれば3年で選挙に出ることも可能だ。
河井夫妻とは買収額のケタが違うものの、この事件もまた政権与党の選挙とカネをめぐる醜態に変わりはないのである。
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