自民党の正門前でLGBT当事者らの抗議署名を受け取ったのは、党職員ではなくビル管理の係員だった。
マイノリティーに対する政権党の姿勢を象徴する対応だった。
「LGBT理解増進法案」の今国会提出を見送るだけでなく、所属議員からLGBTに対する差別発言が飛び出す自民党。
差別発言の撤回、謝罪と議員辞職を求めて、有志たちが、きょう31日、自民党本部を訪れて、9万4,212筆の抗議署名(31日午前0時現在)を提出した。署名の宛先は菅義偉総裁と差別発言をした簗和生、山谷えり子両議員。
党正門前にスーツ姿の男性が現れて抗議署名を受け取った。コメントを求められると男性は「申し訳ありませんが、私は会館のアレをする人間でありまして(発言ママ)」と答えた。
田中が「党の方ではないのですか?」と聞くと、男性は「違います。会館の者です」。
確認のために田中は「自民党の職員じゃないんですね?」と再度尋ねた。男性は「はい。会館の者であります」と同じ答えを返した。
3年前の光景を思い出す。杉田水脈議員が「LGBTは子供を作らないから生産性がない」と雑誌で述べたことが、社会的な批判を巻き起こした。
杉田議員の辞職を求める自民党本部前の集会には、全国各地から当事者や支援者約5千人(主催者発表)が集まった。
LGBT自治体議員連盟の上川あや世田谷区議会議員らが、杉田議員の処分を求める声明を自民党本部に持参した。宛先は安倍晋三総裁(当時)。
上川議員らは自民党本部に事前通告していたのだが、対応したのはガードマンだった。
LGBTに対する自民党の姿勢は3年前と何ひとつ変わっていない。同様の差別が繰り返される訳だ。
就職で差別され、仕事に就いても差別される。劣悪な労働環境がもたらす負のスパイラルに落ち込み、生活は困難になる。
マイノリティーに冷たい社会は、誰もが息苦しい。
~終わり~
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