ずさんな地下トンネル工事により調布市の住宅地の地下をグチャグチャに壊したNEXCO東(東日本高速道路)。地下3ヶ所に巨大な空洞を生じさせ、道路を陥没させた。庭にヒビが入り、塀が傾くなどの被害が多発している。
背後に国交省が控えているためか、NEXCO東は、居丈高で被害の責任についてあいまいな対応を取り続けている。
コンプライアンスなき企業ともいえるNEXCO東は、最も手ごわい男を敵に回すことになった。コンプライアンスに詳しい郷原信郎氏が被害住民の弁護団長に就いたのである。郷原弁護団長はきょう、都内で記者会見を持った。会見要旨は以下-
■このような事態を想定していなかった大深度法自体が間違っていた。この法律を直す。
■組織が法律を守るだけでなく法律の背後にある社会のさまざまな要請に応える。これがコンプライアンス。
■(今回の事故は)NEXCO東にとって重大な不祥事だ。不祥事を生じさせたNEXCO東には当然のコンプライアンス対応を取ってもらう。中心となるのが、被害を被った地上の人々に対する十分な補償だ。
■当初想定していた振動、騒音が相当(長い)期間続いた。その事自体異常だ。そうした状況においてNEXCO東は何を考えて工事を続行したのか。NEXCO東内部における事実関係の解明が、コンプライアンス対応の中心になる。
——郷原弁護士の会見ここまで
被害補償についてNEXCO東は「個別での交渉しか応じない」との姿勢を崩していない。個別であれば切り崩せるとタカをくくっているのだろう。
だが弁護団が結成された。弁護団長は地質学を専攻した郷原氏だ。上述したように、コンプライアンスというNEXCO東の弱点をよく知る。
トンネル近くに住み「家が沈んでいる感じがする」という主婦は、「郷原弁護士が来てくれたおかげで、みんなでやろうという気になった」と期待を込めた。
NEXCO東は、もう住民を個別に切り崩すことはできなくなった。
~終わり~
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