山本太郎の策士ぶりは今回の都知事選挙でもいかんなく発揮されているようだ。
きょう30日、山本は練馬区で街頭演説をした。田中は上石神井駅前の現場を取材した。
「カニ、メロン事件」で経産相を辞任した菅原一秀(自民)が、いつも有権者に政策を訴えていた場所だ。
練馬区(衆院・東京9区)は菅原の金城湯池。事件の影響で票を減らすだろうが、落選することはない、と見られている。
秋にも予想される衆院選挙に、国民民主は高松智之(元練馬区議会議員)を、立憲は山岸一生(元朝日新聞記者)を立てる予定だ。
2人とも当選経験はない。高松は前回(2017年)の衆院選で菅原にダブルスコアで敗れている。
山岸は昨夏の参院選挙で東京選挙区から立候補したが、落選。川崎生まれで三多摩育ち。練馬での浸透度は低い。
ここに れいわ新選組 が知名度のある候補を立てたらどうなるか。現職の菅原に敗れたとしても、比例復活の可能性は十分だ。
きょうは減税研究会で山本とともに共同代表を務める馬淵澄夫衆院議員(国民民主)が応援演説をした。
馬淵は地響きさえするような腹の底から搾り出す声で山本への支持を訴えた。
「私は消費税廃止派」と切り出した女性(50代)は、馬淵の登場に顔をほころばせた。
「アベは嫌い。枝野がいいかな、と思っていたけど、言ってることとやってることが違う」と話した。
昨日29日の街宣現場は自由が丘(目黒区=衆院・東京5区)だった。
東京5区の現職は若宮健嗣(自民)だが、若宮は比例東京ブロックからの転向組(2012年に5区から立候補)であるため、5区を盤石な地盤になしえていない。
選挙に弱い立憲の手塚仁雄が比例復活できるのは、若宮が5区を固めきっていないからだ。
山本陣営はここに嘉田由紀子参院議員を応援弁士として送り込んだ。滋賀県知事を2期8年務めた嘉田は、無駄な新幹線駅やダムの建設を中止に追い込んだ。
クリーンで知的な嘉田の語り口が、セレブの街に響いた。小綺麗な衣装に身を包んだ人々が炎天下、足を止めて聞き入った。
馬淵が庶民の町、練馬で減税を訴えたように、山本陣営は適材適所の応援弁士を投入するのである。
山本が好んで街宣する北千住(足立区=衆院)は鴨下一郎(自民)の指定席だ。前回(2017年)の衆院選で立憲の候補はダブルスコアで敗れている。
山本陣営は遊説先を緻密に割り出し、自民顔負けのドブ板とネットを駆使した空中戦の両方を仕掛けてくる。
そのうえ、どんな奇策が飛び出してくるか、分からない。投票箱のフタが閉まるまで目が離せない。(文中敬称略)
~終わり~