コロナを理由に会社から「あしたから来なくていい」と言われ、休業補償をビタ一文も受け取っていない非正規労働者は、今、日本に数えきれないほどいる。
紅虎餃子房など350店舗を展開する際コーポレーションがアルバイト・パート従業員に休業補償を支払っていないことが分かった。
アルバイト従業員のIさんは「際コーポレーション」傘下の飲食店で月24日、1日11時間労働でシフト勤務に入っていた。月収は手取りで30万円。生活のすべてをアルバイト収入で支えていた。
困り果てたIさんは労働組合の飲食店ユニオンに入り、5月7日、会社に休業補償を求める団体交渉を申し入れたが、会社側はコロナ禍を理由に団体交渉を断った。
生活の糧を失い追い詰められたIさんは、あらためて今日、「際コーポレーション」本社(東京都目黒区)に出向き団体交渉の申し入れをした。田中は記録係として同行した。
「生活がかかっているんですよ」Iさんは声を震わせて訴えた。
だが会社側はまたもやコロナ禍を理由に話し合いを拒絶した。コロナ禍であるからこそ、労働者は急ぐ必要があるのだ。
申し入れ書によると、「際コーポレーション」は—
「アルバイトに対する全額の休業補償は行わないし考えてもいない」「雇用調整助成金を活用しない」旨を電話で答えた。
Iさんはこの後、ユニオンのメンバーと共に厚労省で記者会見を持った。それによると—
ちょうど2ヵ月前、3月25日だった。Iさんが勤務するのとは別の店のアルバイトスタッフからコロナ感染者が出た。
Iさんによれば、会社側はコロナ感染を理由に「アルバイトは全員休め」とのお達しを出した。
会社都合で休ませる場合は最低で収入の6割を補償しなければならない(労働基準法第26条)。「際コーポレーション」広報担当者によれば、アルバイト・パートは休業補償の対象外となっている。
厚労省記者会見から3時間あまり経った夕方7時、「際コーポレーション」広報担当者から田中の携帯に電話があった―
「団体交渉については日程の調整に入る」と。一歩前進だ。
アルバイトの収入がなくなって困窮する学生やパートの皆さん。泣き寝入りせず、声をあげよう。それもできるだけ大きな場所で。
そもそも雇用調整助成金などという会社を通しての煩雑な支援システムではなく、労働者に直接振り込まれるようにしていたら、働く者がこんなに苦しむことはなかった。明らかに国の不作為がもたらした被害である。
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